第14話
~大志side~
赤旗のメンバーが学校付近をうろついている。
その報告を受けたのは、昨日の放課後だった。
俺が学校の空き教室から出ようとした時、携帯電話が鳴ったんだ。
電話の相手はチーム入りしたばかりの今津のメンバー。
『赤旗の下っ端らしき人間をみかけた』
という、内容の電話だった。
ちょうど下校時間ということもあって、偶然千沙がその近くを通りかかっていたらしい。
俺が見張らせていたから大丈夫だったものの、とても安心してはいられなかった。
人の縄張りにずかずかと足を踏み入れてきやがって……。
それがあったから、今日も通学路を見張らせていれば、案の定赤旗のメンバーは再び現れた。
しかも、まるで千沙を狙っているかのようなタイミングで。
「くそっ」
俺は下駄箱をバンッと勢いよく閉めて舌打ちをした。
いつかこんなことになる。
そう考えて千沙をチームから遠ざけていたというのに、敵はこちらの弱みをしっかり握っていたわけだ。
しかも、なにか裏のありそうな赤旗にバレるなんて……。
こうなるなら、もっと徹底して千沙を遠ざけておくべきだった。
チームの話題になる度に冷たい返事を繰り返していたが、その時の千沙の寂しそうな表情を見ていると、どうしても冷たくしきれない部分があった。
それは、全部俺の責任だ。
だから、千沙は絶対に俺が守って見せる。
相手がどんなヤツでも、悪意を持って千沙に近づく人間は、ゆるさねぇ……。
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