第10話

~大志side~


放課後、俺は千沙たちの様子を見に隣のD組に来ていた。



しかしそこに千沙の姿はなく、クラスメイトから友達の福元と一緒に帰ったと聞いた。



まぁ、2人で帰ったなら大丈夫か。



そう思い、今度は3階の空き教室へと足を運んだ。



放課後はここに十数人のメンバーが集まる。



今日も、なにをするでもない連中がここにあつまり、好き勝手に教室を使っているはずだ。



俺が教室に入ると、中にいたメンバーたちが一斉にこちらへ振り向き、会話を止めた。



「おす」



手を挙げてそう言うと、「お疲れ様です!」と、返事が来る。



これが、俺の日常。



「今津と松原の話は、先にしておいた」



キョウが俺の隣に立ち、そう言った。



「そうか、悪いな」



「いや。一応、ここにいるメンバーは納得したようだ」



「わかった」



俺はキョウの肩をたたき、一段高くなった黒板の前に立った。



「みんな、キョウから説明は聞いたようだな?」



「うす!」



「これからは、赤旗の動きに警戒してもらう。放課後の巡回も、今まで以上に気をつけてくれ」



放課後は学校内外で一番騒ぎが起こりやすい時間帯で、今までもずっとメンバーたちが巡回をしてくれていた。



それが功を奏し、今まで目立った騒ぎはなかった。



でも、これからそうもいかないかもしれない。



「今日はそれだけだ。みんな、気をつけて帰れよ」



俺はそう言い、教室を出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る