第4話

「アツシ、そう興奮するな。今西区で下っ端に暴れられちゃぁ、俺たちのメンツは丸つぶれ。



手助けは必要だってことは理解できるな?」



「それはそうかもしれねぇけど、だからってなんでこんな奴らに頼むんだよ!」



「大志、あたしもアツシの意見に賛成。手助けっていっても、本当に助けてくれるとも思えないもの」



そう言うと、大志はあたしの頭に手の乗せて軽くなでた。



「お前は、そんな余計な心配をするな」



「そんなっ……」



「それに、こいつらは裏切らない」



あたしの言葉をさえぎり、そう言いきる大志。



「なんで、そんな事が言いきれるんだよ!」



アツシは、相変わらず声を荒げている。



大志は、そんなアツシを座らせて再び面々を見回した。



「東区の今津と松原は、今日から俺たちのチームに入る」



「「はぁぁ!!?」」



そう叫んだのは、あたしのアツシ。



なにそれ、一体どういうことなの?



今津と松原が同じチーム?



「ちょっと待てよ! トップが3人になるってことか!?」



「アツシ、落着け。『俺たちのチームに入る』って言っただろうが。


トップは変わらず俺だ。2人は幹部クラス」



「でも、大志? 西と東のチームが一緒になっちゃうと、束ねるのが更に大変じゃない?」



「だから、千沙は余計な心配をするな。今日千沙に残ってもらったのは、西と東が1つになったという証を作ってもらうためだ」



「証……?」



あたしは首を傾げて大志を見つめる。



「あぁ。互いに裏切らないために、ミサンガを作ってくれ」



「ミサンガ……?」



「そうだ。この世に、たった1つしかないミサンガだ」



そう言う大志は真剣な表情をしていて、あたしは無言のままうなづいたのだった。

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