第3話「センパイとの不思議な縁」
体験入部期間が終わって、正式入部になったけど勿論アタシは吹奏楽部に正式入部の届を出したよ♫
お友達の梅ちゃんも、正式に入部してくれて、心強かったけど、アタシはサックスパートに入れなかったんだ…(╯︵╰,)
人気が高くて抽選になったんだけど、抽選に外れちゃったの。
代わりに選んだのは、ホルンって楽器。
カタツムリみたいな楽器で、吹き口が小さくて難しいんだけど、先輩2人は優しいから、何とか頑張って上井先輩に名前を覚えてもらいたいな♪
ちょっと悲しかったのが、お友達の梅ちゃんもサックス吹きたいって応募して、サックスパートに入れたの。
梅ちゃんの方が上井先輩に近付けるなんて、複雑…(。ŏ﹏ŏ)
でも梅ちゃんに聞いたら、上井先輩のことは特に気にしてないって言ってたから、アタシの初恋はまだ可能性があるよね!
しばらくは大きな大会もないから、先輩たちはアタシ達の練習に付き合ってくれる感じだったよ。
結局サックスには、梅ちゃんと、もう一人女の子が入ったの。
大田さんって女の子が入ったんだけど、アタシ、大田さんと小学校の時に一緒のクラスになったことがあって、あまりいい印象がないんだ…。
なんかね、ぶりっ子って感じなの。
先生や男子の前では凄いいい子なんだけど、女子の前では言葉が乱暴だったり、いじめやすそうな子に先生にばれない程度の嫌がらせしたり。
中学に入って性格変わってたらいいけど…。
大田さんと上井先輩が万一付き合ったりしたら、アタシ、全力で別れさせるから!
それで、新1年生部員が12名ってことで確定したんだけど、上井先輩はちょっと暗い顔してるの。
2年生の男子の先輩たちと話してたけど、1年生部員に、期待してた男子が入らなかったみたい。
上井先輩の前の部長さんの弟で、トランペットを吹いていて、体験期間中も確かにアタシも見掛けた男の子。
その男子が吹奏楽部じゃなくて、陸上部へ正式入部しちゃったみたいなんだ。
期待してた1年生男子が入らなくて、上井先輩は落ち込んでたみたい。
でも1年生が正式入部して、今年度の吹奏楽部のメンバーが決まった最初の日、部活始まりの挨拶は、副部長さんじゃなくて、上井先輩がしてくれたんだ。
「改めて皆さん、こんにちは。1年生の皆さん、正式入部してくれてありがとう!僕は部長の上井と言います。1年生の皆さんには、部活説明会でお会いして、どれだけの新入生が来てくれるかな~って期待してました。12人の1年生の皆さん、小学校の時に楽器やってた子もやってなかった子も、みんな一緒に頑張りましょう。夏休みの終わりに、コンクールがあります。そのコンクールで金賞を取るってのが、一番の目標です。その目標に向かって、頑張りましょうね。何か悩みとかあったら、何でも僕に言って下さい。相談に乗りますからね。では今日から仲間として、頑張りましょう」
はい!っていう返事の後にワーッと拍手が起きて、上井先輩は照れながら自分の席に戻ったよ。
アタシ、ずーっと上井先輩を目で追っかけてたけど、気付かれたかな?
その後、顧問の竹吉先生が初めて挨拶されたの。
音楽の授業を何回か受けてたから、楽しい先生だって分かってたけど、顧問の先生も、楽しい挨拶されてたよ。
「皆さん、こんにちは!僕が顧問の竹吉です。1年生のみんな、吹奏楽部へようこそ!大歓迎しますし、更にお友達を連れてきてもらってもいいですよ。さてさっき、部長の上井がエラソーに話してましたが、なんと上井はね、去年の今頃、1年生の皆さんと同じ立場でした。そう、2年生になってからの途中入部で、しかも楽器初心者だったんです」
えーっ、とか、1年生がザワザワしてた。
アタシも知らなかったから、ビックリしちゃった。
「でも、部長としてみんなの前でエラソーに挨拶しとったじゃろ?それだけ上井は、毎日物凄い熱心に練習して、あっという間に先に入っとった同級生に追いついたんよ。だからみんなも毎日部活に来て、一生懸命練習したら、先輩にすぐ追いつけるし、追い抜けるかもしれない。2年生、3年生もウカウカしてたら、1年生にすぐ抜かれるぞー。まあとにかく、みんなで毎日、楽しく明るく一生懸命に練習しよう!よろしくな」
アタシ、ビックリしちゃった!
上井先輩って、2年生から吹奏楽部に入ったんだ…。
それで部長までやってるなんて、凄い人なんだ…。
雲の上の人かもしれない…。
いや、ということは、アタシも一生懸命練習して、まずホルンの先輩と仲良くなって、少しずつ上井先輩に近付くんだ💕
頑張ろうっと!
「じゃあ今日からしばらくは、パート練習が基本になります。合奏は、当面週一回くらい…でいいですよね?先生」
上井先輩が竹吉先生に確認して、先生が頷いてる。
「合奏は、当面は練習曲として、マーチを演奏します。楽譜はパートリーダーに渡してあるので、パート練習で使って下さい。マーチは体育祭で必ず演奏するので、いつでも演奏出来るように準備してね、ってな意味もありますから、頑張って練習して下さい。まあマーチは、ホルンは後打ちが多くてしんどいとか、打楽器は休む間がないとか、大変な部分もあるかもしれませんが、そこは許してつかーさいね」
上井先輩はそう言って、アタシの方を見たの!((ノェ`*)っ))タシタシ
いや、正確には、ホルンパートの方を見たんだけど、アタシ先輩と目が合ったように…いや、絶対に目が合ってる!合った!
もう今日はそれだけで大満足しちゃった(*´∀`*)
そして部活後は、上井先輩と帰る方向が一緒だから、いつか一緒に帰れる日が来ないかな💖
普段は上井先輩の方が部長としての仕事があるみたいだから、アタシは先輩よりもちょっと早く帰る感じになるけど。
「ただいま~♪」
「おかえり~。朋ちゃん、嬉しそうな顔してるね。いいことあったの?」
お母さんがそう聞いてきたから、ついアタシ、上井先輩のこと言っちゃった。
「へぇ~、朋ちゃんも好きな男の子が出来る年頃になったのね。でもいきなり年上で、しかも隣の棟の上井さんの息子さんとは…思わなかったわ」
「え?お母さん、上井先輩のこと知ってたの?」
「知ってるも何も、お父さんの上司が上井さんのお父さんだもの。2年前に横浜から来られたんだけど、とても優しい上司だからお父さんは良かった、って言ってたよ」
「えーーーっ、そうなんだ!」
だから上井先輩のことを小学校で見かけたことがなかったんだ。
上井先輩は、小学校まで横浜にいたんだ。すごーい!
また一つ、上井先輩との縁が繋がったみたいで、何か嬉しいなっ。
お父さん同士が知り合いなら、もし先輩とお付き合い出来て、長くお付き合いして、もしかして結婚なんてことになったら、キャーッ💕(≧∀≦*)
「朋ちゃん、何考えてるのか分かんないけど、照れてないで早くお風呂に入っちゃいなさい」
お母さんがアタシを現実に引き戻してくれた(笑)
アタシ、楽しい中学校生活を送れそう♪
<次回へ続く>
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