第27話 ~栞side~ 妹

 妹の文(ふみ)はかわいい。

 年は二つ下で、頭はまあまあだけど地元の公立中学にいったから、成績はトップクラスらしい。

 170センチあるわたしと違って、140センチもない。

 顔もちっちゃいし、ツインテールとかさせると、もうやばい。

 ほんと、『ナチュラル・ボーン・かわいい』んだ。


 文とは仲が良くて、小さいころはお菓子や文房具を、今は服を買いに一緒に出かける。

 ふたりで出かけると、よく親子に間違われる。

「親子で仲良いですね」とか「姉妹みたいですね」とかいわれたりする。

 そりゃ仲良いし、姉妹だから当然なんだけど……。


 文はわたしと違って要領がよくて、ママにも「文ちゃんを見習いなさい」っていつもいわれるくらい。

 そして、とてもよく気がつく。


「お姉ちゃん、顔真っ青だよ。

 大丈夫?」

 テストの成績がすごく悪いとき、文が声をかけてくれた。

 文だけが。

 人間落ち込んでいるときに優しくされると弱い。

 そういってくれた文があまりにもかわいくて、抱きしめて思わず頭を少しかじったら、ちょっと怒られた。


 だからいえなかった。

 そんな文を心配させてくなくて、テストの成績がすごく悪かったって、いえなかったんだ……。

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