第9話(幕間) キャラクリエイト

「うわ〜このゲームすごいねぇ。絵本の中に来たみたい」

「ふふん!本を読むのが好きな結由姉の事だからこういう世界観なら楽しめると思って」

「先輩…嬉しいのは分かりますけど、結由さんの事お姉さん呼びしてますよ?」

「はっ…!うーん…もういいや、取り繕うの面倒臭いし」

「やった〜!距離感じてたんだよ今の呼び方〜!」


 私達はそれぞれキャラクリを終えて始まりの街に降り立った。

 私と芽亜は初めに少しやっていたので結由姉に合わせてサブキャラを作って参加している。


「結由さん結構似たキャラクリされたんですね〜」


 結由姉のキャラメイクは桜色の髪の毛の長身のお姉さん風だ。何を隠そう現実の結由姉も髪の毛は桜色なんだよね。凄いよねー。芽亜もそうだけど、私は黒髪だしそういう明るい色でも似合うって結構羨ましいな。


「せっかくやるなら自分がこの世界に降り立ったみたいにしたくてね〜。そういう二人は結構違うんだね」

「私はこういうRPGの世界観ならアグレッシブな明るい女の子にしようと思ったの。んーそうだなぁ、モデルは芽亜かな」

「わ、わたしですか!?」


 芽亜は顔を真っ赤にして慌てふためく。

 こういう表情がコロコロ変わるのは見てて楽しいなぁ。ほんと可愛い。


「そういう芽亜は随分と可愛いキャラメイクはのね?」

「え、えっと…私…こういう可愛い女の子が憧れと言いますかぁ…」


 いつになく歯切れの悪い芽亜のキャラクターは金髪で体型も全て最小値の何とも愛くるしい女の子だった。なるほど…芽亜はこういう子が好きなのね。……あれ?いつも私に憧れとか好き〜とか言ってくれるけど私のイメージと真逆じゃない?


「芽亜も十分可愛いと思うのだけど…?」

「ふぇ!?ちょ、ちょっと先輩…お世辞でも嬉死にますよぉ…」

「楓ちゃんってなんて言うかたらしよね…」

「それは違うよ結由姉!」


 私がタラシ?そんなはずないじゃん!だって…だって…!


「芽亜が来るまで私学校でぼっちだったんだよ!?それに…誰も話しかけてくれないし…」

「それは楓先輩が神々しくて皆話せないだけですって…」

「あと本心の楓ちゃんと外面の楓ちゃんがキャラ違いすぎるのも原因だと思うなぁ」

「確かに学校じゃ口数少ないおっとり系美少女って感じですもんねー、本当はこんなに明るい人なのに」


 芽亜と結由姉の言葉が痛い…。


「だ、だって…オタクって人権ないって誰かが話してるの聞こえたんだもん…。私だってクラスでオタクトークしてる人に混ざりたかったもん」

「流石に考えすぎですよぅ…」

「でもそのおかげか今は孤高の姫状態だもんね〜、地位は手離したくないよねお姫様♡」

「も、もう!私のことはいいの!それよりゲームよゲーム!」


「あ、そういえば皆女の子キャラ使うんだね」


 思い出したかのように結由姉が言ってくるのだけど、え?男キャラ?

 私と芽亜は顔を見合わせると口を揃えて言い放つ。


「「だって可愛い女の子使いたいじゃん!!」」


「そこはぴったりなのねあなた達…」

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