いのち

宇宙に浮かんで

地を這う

遠い塵は星のたまごで

埃はくしゃみを生む


猫があくびをする

ただそれだけで穏やかな気持ちになれる

暖かな日差しを感じ

眠りを思う

揺れる尾は

気ままなメトロノーム

静かな風が、優雅にカーテンと戯れる


外に暴れる雑音の波

溺れ、流され

無人島を夢にみる

行き場のない感情と理不尽が

小さい身体に押し込められ

虹の向こうを想像する


流れるメロディが

電車の到着を知らせる

いつもと違う方向へ

駆けていきたい衝動

海の見えるあの街へ

透明な塩が顔を伝う

鼻の奥が響き、嗚咽が漏れる


無重力は丸い

重力のあるこの星じゃ

涙は傷つけない形になれない

暖かで優しい涙は

緩やかに僕を締め殺していく


紺青と闇の狭間で

いのちが生き、蠢いているのを見る

緑と青が広がり、冷たさが体を脅かす

自由の鎖を取り外す夢は

僕に生きることを強制させる

白い天井は、宇宙に繋がる

思い馳せ、目を閉じる

騒々しい赤が広がり

頭を響かせる


眉間に寄ったシワ

谷で宇宙を、丘で猫を撫でる


草原を遊ぶ風たちと

友達だったあの頃は

遠い虹の向こう

アスファルトに固められ

新たな命を育む



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