現実

理想は私の手から離れ

発射台へ

遥か彼方へ飛んでゆき

私だけのものではなくなった、

肉眼で見えなくなった《それ》は

本当は宇宙へ行ったのではなくて

足元に埋まったのかもしれない


そらを掻いて、虚しさで締め付けられる

耐え難き夢は

忘却の炎へ消えていった

残らない形を想い

黙祷もできず

ただ孤独に立たされる


日常は形を変え

慰めと思えば責め立てられ

称賛と底知れぬ不安を

覗き見、落とされる

見上げる星は滲み輝き

手に入れればどれほどの幸福か

瞳を閉じ、流れる星を見つける


旅を終えるとき、何を想うだろう

小さな温かみを集め

身体を優しく包み込んだら

きっと《それ》が幸せなのだろう


我に返る

遠く、決して手の届かぬ星を

ひたむきに見つめ

側の小さな花たちを

映さなかった恥を知る

美しさ

潮の旋律を

流木を背に

静かに感じる


音は溢れ、呼吸する

自分もその一部なのだと

落涙する

決して孤独にはなれないと

気づき、流れに委ねる

穏やかな春の日はくるのだと

旅立つ日/天気雨



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