第2話「知らない連絡」


「まずはメイクから興味を持ってもらいたいんだけど、お前は元々素材が良いから良い感じに盛れそうだ」そういうと友人はニカッと笑った。


その笑顔はダメだな…。。

「お、おう?」

「それからっ!お前の家に久しぶりに上がらせてもらう予定なんだが今から行っても問題は無いよな?」

予め確認した彼は俺の返事を待っていた。

「まぁ、汚いが大丈夫だ」

「よし、俺も彼女に連絡してから行くわ」

そしてその一文で非リアを痛感させる。

恐ろしい男だ。

「それじゃまた後で俺の方から連絡させてもらうわ」

彼は「んじゃ」と短い返事を返し、足速に去っていった。


何が起こったのか分からず俺は呆然と立ち尽くしていた。


とりあえず家に帰ってきた俺は部屋の片付けをしだす。友人とは言えど部屋が汚いのは非常識だからな。

そこでフィギュアが目に止まった。

片付けた方がいいのか分からず綺麗に並べてそわそわしながら友人の連絡を待つ。

初期のフィギュアを見てると買った当時の出来事が鮮明に浮かび上がった。

どうしようもない俺を7年間支えてくれたこのフィギュアは俺にとって命に等しく大切なものになっていた。

ついつい懐かしさに浸ってしまう。

自分を制しながらスマホへと目を落とすと1件だけ連絡が来ていたことに気づいた。


ー?


開いてみると知らないアイコンの人がDMで「フォローさせていただきました、よろしくお願いします。」と言うメッセージを残していた。

此奴もアニメ好きの同士なのか?と思いながら「ありがとうございます、こちらこそよろしくお願いします。」というなんとも他人行儀で律儀な文章が俺のメッセージにズラっと並んでいた。

俺もこんな律儀な文章が書けるのかと苦笑しながら送り返事を待つことにした。

ーENDー





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