第219話 エピローグ:閉幕から未来へ
《超大型レイドボス:星喰らいのケモノの反応が消失しました!》
《これにより各地にて星喰らいの残光が灯り倒した超大型レイドボスにはいつでも再戦が可能です》
《超大型レイドボス戦の特殊ルールにより、戦闘を行った全てのプレイヤーの中からMVPを選出します》
《おめでとうございます! PN:プレジャ様がMVPに選出されました》
《追加の豪華報酬が送られましたのでご確認ください》
「倒せた、のか」
後に星喰らいの本体が放つ眩い光が収まった頃になってやっと、俺はそれを認識出来た。
なんかその間にアナウンスが色々言っていた気がするが今はほぼ頭に入っていない。
力の大本を失った星喰らいは身体を構成する星座の輝きが搔き消え、ガラガラと崩れ去っていく。
そこから生じるもはや暴風かと言わんばかりの死亡エフェクトの中を俺はゆっくりと降下し着地する。
「お……おっしゃー!!」
「勝ったぞ! あのとんでもねぇ化け物に勝った!」
「俺、もう何度もダメかと思ったよー!!」
あっちこっちから怪人たちの勝利の歓声が轟き、その実感が広がっていく。
きらきらとした粒子を浴びながら興奮のまま魑魅魍魎がはしゃぎ回る光景は一見すると何かの儀式だが今はそんなことお構いなしだ。
「やったじゃん」
「今回も、ぎりぎりにな」
パンッ!
と、ヘンダーと無言でハイタッチを交わす。
お互いでボロボロで、ハイタッチだけで倒れそうな有様だがこの疲労感さえも今は充実に感じた。
「と、感傷に浸るのもいいけど。まずは……」
『
「ね、君たちの拠点コアはどこ」
「ああ、それならあっちに……」
「そっか、じゃ今日はさよならね」
それだけ聞くと問答無用で消滅属性を放ち、拠点コアを消して彼らを退場させた。
元から、怪人たちはことが終わったら自分から拠点コアを差し出し退場する予定だった。
だから彼らも特に疑いもせずに教えてしまっただろう。
俺もまさか急にそんなことするとは思わず、愕然としたままヘンダーに詰め寄る。
「ちょ、ヘンダー! 何も挨拶ひとつなく退場させなくても」
「何言ってんの、こういうのはやれる時にやらないと。何かあってからじゃ遅いんだよ」
まるで諭すような言い草だが、さっきまであんな協力してくれた者たちを一切の躊躇なく消し飛ばすのは控えめに言って外道の極みである。
「まあ、過ぎたことはいいじゃん。それよりもうすぐだよ」
「あ、カウントダウン始まった」
《対戦が終了しました》
《10秒後、通常マップに帰還しますので備えてください》
《10、9……》
待ちの10秒なんてあっという間で。
街に戻ってその喧騒が聞きやっと、本当に終わったんだなーって実感が湧いた。
「……短いようで、長いイベントだったな」
「きゅう」
「しんみりしてるとこ悪いけど、早速景品交換するよ!」
「情緒もへったくれもないな……。後で怪人にも謝ったとかないと」
「連中には後で俺から何か言っとくよ。めんどくせぇことしやがってネナベババアがよ……」
マイペースなヘンダーに対してぶつくさ言うヨグと一緒にげんなりした顔を並べる。少しは余韻に浸らせってんだ、ったく。
まあ、俺も楽しみだからそりゃやるけども景品交換!
「後輩くんはこの後はどうする予定?」
「もちろん『土地の掌握券』で土地を手に入れて新階層をばーんと作るつもりさ。何なら数か月はそれでダンジョンにこもりっきりかもな」
「あはは、後輩くんらしいね」
今回、望外の大収入を得たお陰で『土地の掌握券』は買い占め出来る。ちなみに本戦ポイントで買えるものは一部の消耗品以外は個数限定だ。
『土地の掌握券』の数なんと5枚。
これはうちのダンジョンに最大5つのフィールドを追加出来るということだ。
いくつか狙い目の場所はすでにピックアップしてあるし、後日早速お邪魔するつもりでいる。
「ヘンダーは何するんだ?」
「私は手に入れた景品で検証三昧かな。『精霊術』で扱える属性を増やしたいしね」
「ああ、多いもんな未知の属性の装備やアイテム。あ、分かってると思うけど……」
「言われんでも、検証に使い終わった装備類とかは後輩くんのダンジョンに回すよ。そういう約束だしね」
景品を独占し、その景品の一部を選定して、これから新しく出来る予定の階層域のボスに守らせる。無論補充されることはないので、それを手に出来るのは最初に到着した者のみ。
という本戦前に俺が言った大言壮語。
その前にヘンダーたちとは俺が闇クランの表のリーダー、つまりは群衆の矢面に立つ代わりにこれからのダンジョンの戦力になってもらういという契約を結んでいる。
その一環としてイベント景品をダンジョンへと提供するというのも、事前に話し合われている。特に今回散々な目にあってるからな、たんまりと貰わないと割に合わない。
「俺もギフトウェポンだけ取って、余りまくりだから欲しいの言ったら取るぜ」
「妾ももう必要なものは選び終えましたので、この予算から好きに頼んでいいですわ」
「おお、助かる。実は優先して欲しいのがいくつかあってさ……」
それから俺たち『
この《イデアールタレント》に闇クラン『
ま、俺はそんなことよりも自分のダンジョンのことで頭がいっぱいだったけどな。
さーて、これからどんなダンジョンを作れるか本当に楽しみだ!
_____________________
・あとがき
というわけで第3部はこれにて終わりです。
途中長いスランプにより大変お待たせしたのをここで再びお詫びを。
で、これから連載予定ですが……。
活動報告にも書いてる通りなんやかんやと今やニートから脱却してるのでこれからは前と同じペースで続けるってのは難しいです。
話し自体は仕事の合間を縫ってちょくちょくと書く程度なので、仕事の忙しさ次第で振れてしまい明確にこの時期にってのが示せないと思います。
なのでこれからひとつの部の章が溜まったら連載しのまた溜めるって感じになると思います。
あと、いつもの掲示板回ですが今回は書きたい場面多く、ちょっと長くなってしまい3分割します。
それでは最後に……次のお話となる第4部、
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