第109話 『魔刻』
魔陣士ギルドが忽然と消えたその後。俺たちはティアの中にいるなんにもない空き地に突っ立っていた。
わけが分からず、マップを辿って魔陣士ギルドに戻ってきてみたがのだが……そこはさっきとはまるで別の場所になっていた。
受付のお婆さんも全然違う人で、魔女っぽさはないただの神経質そうな老婆がいるだけだった。その受付のNPCにもあのお婆さんの話を聞いてみたが……。
「そんなの知らないよ、冷やかしならとっとと帰んな!」
と、怒鳴られて追い出されてしまった。
結局わけが分からないまま、俺は自分のホームたるダンジョン(海側)へと帰ってきた。
そこで確認のため自分のステータスを開いて操作してみる。
_____________________
名前:プレジャー ランク:★★
セットジョブ
測定士LV10☆:『測定』
拡張ジョブ
魔陣刻士LV1:『魔刻』
*装備
上衣:遮風の外套
下衣:根下の袴
武器:増職の星杖・セット『魔陣刻士』
装飾:大地の琥珀輪
装飾:速魔の首飾り
所有ジョブ(残り枠0)
従魔(眷族3/3)
ファスト・混合蹴兎LV40☆
クイーン・鬼子母兎LV50☆
ペスト・
1F《上層》グループ・TN600
2F《下層》グループ・TN600
3F《海層》グループ・TN100
_____________________
「やっぱりいるよな……何なんだ、魔陣刻士に『魔刻』って。また聞いたこともないジョブにスキルだよ」
クエストの内容がかなり違っていたのもこれで納得なんだが……どこであんな転職クエストのフラグを踏んだんだ?
今回はばかりマジで心当たりがないぞ。
「しかも『万手の魔女』って何だよ。HiddenMissionの関連キャラにそんな名前のNPCなかったはず何だけど……」
俺も一応関わったものとしてHiddenMissionの関連情報には目を通している。
その出現条件のフラグもある程度判明して、それらしいNPCはすべて洗い出されてたはず……。その中に『万手の魔女』なんてものはなかった。
でも実際にHiddenも隠しジョブも出たわけで。
みんなが知ってるのとはまた別のHiddenMissionありクエストフラグが立ったということ、何だけど……。
「うん、それは後回し! どうせ暫くクエストして回ってる暇ないし。身体もこんなヘンテコな石のままだしな」
後でヘンダーあたりにでも相談すればいいと気楽考えて、今は折角手に入れた未知のジョブを是非試そう、それがいい!
と、若干現実逃避を入れながら気になってたのも事実なので新ジョブ、魔陣刻士を調べることとする。
「どれ『魔刻』の詳細表示っと」
『魔刻』
効果:魔法陣を作成することが可能になる。たとえそれがどこであろうと魔法陣を世界に刻める。
……ふむ、『魔刻』スキルがギルドのインクの代わりになってるところは一緒か。でも後述の説明のどこでもって……これ本当か?
「まぁ、それは試して見ると分かるか。まずは適当にここの地面に……」
お試しってことで、島の地面をホームエリアから排除。
そして今持っている上部がやたらと豪華なデザインで肥大化した杖……
「にしてもやっぱ邪魔だな
ついでに
_____________________
増職の星杖 ランク:5★(MAX)
魔法ダメージ増加(中) 不壊属性 純潔属性
耐久:破壊不可
_____________________
純潔属性:持ち主を設定出来、一度持ち主を設定したら譲渡、売却、強奪出来なくなる。
不壊属性:耐久が減らず、あらゆる破壊効果を無効にする。
能力の性能は本当に破格何だが……持ち歩きに不便で魔法の杖としてはそこそこでしかないレベルなのでヘンダーの
「愚痴を言ってる間に出来た。魔法陣としても……きちんと機能するな」
それだけ確認してもういいかと機能を止めて地面に描いた魔法陣を足で擦って消そうした……のだが。
「あれ? んんっ、あれ? 全然消せない!」
いくら擦っても擦っても描いた円は消せない。杖で引っ掻いたりもしてみたがそれも無駄。
結局その後、魔法で土台ごと破壊してようやく円の形が崩れ、消せるようになった。
それからも何度か試して検証してみたが結果は同じで、『魔刻』で描くと土台ごと壊さない限り魔法陣は消せないという結論になった。
気になって通常の魔陣士のスキルも調べてみたがそっちの魔法陣はここまでしなくても普通に消せるようだ。
「魔を刻む、か。なるほどな……。これを使えば、もしかして」
そう呟いてから俺は、今も海のホームの外周を雄大に飾る円錐の柱たちを見て口角を上げるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます