第105話 帰還からの……
ティアの地に加護を返し、無事復興クエストをクリアした次の日。
「あれからもティアの人たちに宴だの何だのと付き合わされたが……やっと帰ってきた我がホーム、そしてダンジョン『
報酬として海エリアの『土地の権利書』もばっちり手に入れ、そこの占領も昨日、有志の魚人族たちの手伝いで済ますことが出来た。
「後はどのようなダンジョンするか決めて、作っていくだけ。それが済めばついにダンジョン再開だ!」
何だかんだ今回のクエストでそこそこ散財したからな。出来れば早くダンジョンでまた稼げるようになりたい……が。
「結局、最後までこの魔石化とかいうのは治せなかったなぁ」
クエストが終わったその後。フォルに連れられ、ティアのあらゆる治療所を巡ったが、どの治療所でもこの魔石化を治すことは出来なかった。あと死に戻りしてもそのままだったことはだけ言っておく。
まぁでも色んな場所で調べた結果、何故このような状態が維持出来いるのかぐらいは聞けたが。
「その時の医者の言葉を要約すると。膨大な魔力をどうやってか人体へ無理矢理に安定化させ送った結果、それに合わせるように器たる身体が変容して……こうなったと」
あの石っころ、とんでもなく厄介な真似しやがって。つまりこれが治療で治らないのはこれが身体的に正常である判定が出続けているが故ってことだ。そりゃ普通の治療手段じゃ治らない。
ただ、それだけ聞けたらもう十分だ。
「つまりはその現象を起こしてる増大な魔力とやらを身体から抜けば自然と元に戻るということだ」
魚人族の人達には多分適正やそれ用のスキルがなかったからそれが出来なかったが、俺なら恐らく『魔法・星界』で星属性を扱えてそれが出来る。
「でもまぁ、それだけの魔力をただ野に捨てるのも勿体ない。折角貰ったんだし使い潰してやらないとなぁ?」
まだその全容は分からないが、星属性が俺の魔法の記述にもある星への干渉力そのものなのは分かる。
治すついでだ、この魔石化した身体も使って海のダンジョンは大掛かりなものにするとしようか。
「う~ん……手を付けるところが多いな。どこから作っていこうか? …………そうだな、まず入口からにしようか」
新階層は10階層のボス部屋、そこを突破すると行けるようにする予定だが……こんな長く準備してからの開場だ、入口から少し凝ったものが欲しい。
「今ところ、俺が出来るのは土属性の範囲拡大と月からの引力への干渉ぐらい。これを利用すれば……うん。いい感じなのが出来そうだ」
思い立ったが吉日、とういうことで早速ダンジョン奥の待機部屋から10階層にホーム機能で転移。
この転移機能も前の即時修正により、闘技場エリアなど一部のホームエリアでは追放機能も含めて、使用不可もしくは使用制限付きになってしまったが……普段の移動ならそれ用に作った隔離部屋に跳べばいいだけだので問題ない
そこからは魔法で俺自身を土で包んでから地面を這うように操作して目的の場所まで運ぶ。自分を自分で運ぶってのも不思議な感覚だが、まぁ暫くはこのままになりそうだし、それには慣れるしかない。
「そんじゃ始めるとしますか!」
「きゅ!」
「チチッ」
何故か見学に来たファストとペストの鳴き声を聞きながら、ホーム機能を操作していく。
弄る予定の場所のホームエリアの指定をキャンセル。そこを起点に穴をあけて広い空間を確保する。
「後はそうだな……ホームオブジェクトの小池、これでいいか」
ホーム機能のショップで売っている設置物の魚などが泳いでいる小池を購入しこの場に直で設置する。
「そしてこの水に掛かる月の引力だけに絞って、一気に引き上げる!」
すると途端に池の水が浮き上がり、天井にぽちゃんっと雫が落ちた音を大きくしたような音を出しては貼り付く。それを安定させるために今までは外と同期させていた天気も晴れた夜に固定、と。
「この水の中に逆さまになるように海の方の行ける転移門を設置して……下準備は完了」
後からホームオブジェクトの転移門を開けっ放しにして海に通じてる水中トンネルみたく偽装してから、海に繋がっているあっち側のホームの洞窟に違和感なく出るようにする予定だ。
そしてそこから海の方に出て海中に続いているダンジョンに移行するって流れとなる。
「きゅー……きゅ!?」
「あ、ファスト!?」
天井の水が余程気になったのかファストがその真下まで近付く。それで引力に巻き込まれたのかわふっと浮き上がり上に向かって落ちそうになる。
幸い俺が見ていたので魔法を途中で緩めて水に落ちずに済んだが、どういう偶然でバランスが合ったのか、ファストはふわふわと宇宙空間にでもあるように虚空に漂うようになっていた。
「おお、これいいな。最初はただ引力で上げるだけのつもりだったけど……どうにか調整して今みたいに虚空を泳いで上に行けるように出来ないか?」
「きゅー!」
「チチッ!」
楽しげに虚空を蹴って飛び回るファストといつの間にかそれに混ざったペストを見ながら、これは使えないかと思案を巡らす。
難しいそうだが、出来たら絶対に面白い。それに新階層の入口から強烈なインパクトを与えること間違いなしだ。
そのためにも魔法をずっと維持する方法とか、ここの内装に……海の方も見るなどやることは山積みだが……だからってこんな面白いそうなこと諦めるなどゲーマーとして言語道断。
「まだまだ扱い切れていない『魔法・星界』の訓練も兼ねて、一丁頑張りますか!」
腕捲くりしながらそう気合を入れた俺は、一日でも早く新たなダンジョンの姿を完成させるべき魔法を組み上げていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます