第3話 海原聾学校
『海原聾学校へようこそ』
海原聾学校の先生が筆談をしてくれた。筆談なしで学校について説明を聞くのは大変だ。でも、事前に持って筆談をお願いをしたおかげで、合理的な配慮をしていただくことができた。
安心して、充実した見学をした。
他の学校と違って、海原聾学校の生徒は何か手でコミュニケーションをとっている?
初めて見たコミュニケーションだなと思って、先生に質問した。
「生徒同士が手で会話をしていますね。あれはなんですか?」
先生はああと手にポンと叩いた。何か気づいたそうだ。気づいた後、すぐに書き始めた。
『あれは手話です。耳が聞こえない人たちのコミュニケーションツールであります」
「手話ですか…」
手話か。ああ、どっか見たことがある。時々、ニュースに知事や首相が話す時、隣に生徒が同じように手で話している。あれは、耳が聞こえない人のために手話通訳だったか。
脳の中に保存された記憶と先生の言うことを関連して、なるほどと納得した。
僕はいつも考える時は腕を組むらしい。
先生は何を考えているかと、僕の顔を覗いた。おーいと手を振った。
横にいる母さんに僕の肩を叩かれて、ようやく呼ばれたことを気づいた。
「あ、考え込んでいてすみませんでした…ん?」
先生はすでに書き終わった紙を手にした。
『もし手話に興味があるなら教えてあげますよ』
僕が読み終わると、一人の生徒が僕の前に立っている。いつの間にかここにいた?もしかしたら、僕が読んでいる間にs年生が呼んでいたかな?
呼ばれた生徒は紙を書いた。
『海原聾学校へようこそです。初めまして、僕は肇はじめです。よろしくお願いします』
自己紹介をしてくれたので、僕も自己紹介をしようと口話で伝えた。
しかし、肇さんは困惑した顔になった。申し訳なさそうな表情にして、耳に当てて『耳が聞こえない』、そして手の上にペンで書くように『筆談でお願いします』とジェスチャーで伝えた。
なるほど。耳が聞こえないので、僕と同じように筆談をすればいいと理解した。
自分も紙に書いた。
『初めまして、僕の名前は翔です。よろしくお願いします』
書いた自己紹介を見せてあげると、肇さんは微笑みな表情が浮かんで、OKのハンドサインを出した。
『では、手話を教えてあげたいと思います。まずは挨拶です』
今から何をするかわかるように、肇さんが『おはよう』に指を差した。
指を差した後、グーのサインを作って、耳の近くに置いて、耳から肩まで下ろす。そして、両手の人差し指を伸ばして、お互いの顔を見合わせるように整えて、お辞儀をするように指を折り曲げる。
肇さんの手話を真似にして、自分も手を動かした。
細かいな動作は肇さんが訂正にしてくれた。しかし、肇さんのようにスムーズな手話ではなく、ぎこちないな手話になってしまった。慣れていないからかな?
でも、肇さんは「大丈夫よ」と優しいな表情を浮かんでくれた。そのおかげで、ぎこちないな手話をしても恥ずかしいと言う気持ちは一切なかった。
普通ならできないと笑われる。だから、積極的に取り組もうという意欲を失い、消極的になってしまうことは多い。だが、この学校の場合は笑っていない。笑うではなく、優しい表情で肯定してくれる。
肇さんが『これが「おはよう」の手話です』と伝えた同時に、僕の心の中には優しさに惹かれてしまった。
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