第8話 ここは一体どこなの?

ガチャリとドアを開ける。

「「「「「「あ…」」」」」」

ドアから出てきた同時にばったりと6人に会った。

零さんと樹さんは左の部屋、仁さんと陽毬さんは真ん中の部屋、俊介さんと芽衣さんは右の部屋にいる。

零さんが俊輔さんのところに行こうと思ったら、バンっとぶつかった。

「あいてて、何も見えないのに壁がある…」

仁さんが尻餅をつけた零さんに近づけて、手を差し伸ばしても向こうに越えることができない。そこに透明な壁があるとわかった。

「もしかしたら全員を揃わず、二人のペアでクリアしろか?」

顎を当てながら仁さんが冷静に推理を始めた。

ーーーこんにちは。零さん、樹さん、仁さん、陽毬さん、俊介さん、芽衣さん、窮屈な部屋の中に閉じ込められてどんな気分ですか?ーーー

真ん中に構えている巨大なテレビから山崎社長の声が聞こえた。

「ふざけんな。さっさとここから出させろ!」

樹さんがテレビをぶっ壊そうとしようとした。零さんは慌てて脇の下に腕を滑らせて阻止した。

「やめて、樹さん!この競争に

ピタッと暴れが止まり、ようやく落ち着いた。

「山崎社長、前提は置いといて、すぐに本題を言ってください」

仁さんが一歩前に出て話した。

ーーーなんだかちょっと楽しそうなことを見れたのに…、まあいいさ、今から本題を言う。本題を言う前にこの動画を見てみて」

山崎社長から動画に切り替えて、再生する。

「え?これは…」

「嘘だ…」

「今頃、俺は夢でも見てるじゃねぇ?」

「多分、違うだと思う…」

「きっと編集をしてるだと思う…」

零さんは唖然と口を開いた。

「なんで

6人が目にしたのは、記者会で複数のカメラがフラッシュを照らす中に6人が横に並んで立っている。

さっきまでは、窮屈な部屋に閉じ込められた。

閉じ込められる前に記者会に参加する記憶は全くない。

しかし、テレビの奥に一体何が起きたの?

ーーーあれれ?6人、このテレビを見てもわからないの?ーーー

零さんが、顎を当てて、この会社に入ってからここまでどのように行動したか振り返ってみた。

「6人と仲良く働くのはまだまだ子供の思考だな。大人の世界では甘く見るな。この山崎社長が事実を言ってやる。働けるのはたった一人だけだ。———このゲームに参加したい方は、同意書を記入してください」と山崎社長に言われた。言われた通りに同意書に記入して、終わった後、目隠しをされた。そして、腕に注射を刺した。ここで記憶が断たれた。

遡った記憶に何かおかしい点はないかと探ってみた。

「もしかしたら…」

俯いた顔が急に起き上がる零さんが口を開いて話す。

「目隠しをしている僕たちに麻酔をかけるだけなく、一部の細胞を抜き出したか?抜き出した細胞をクローン化にさせた?」

「ああ、僕もそう思いました」

腕を組んだ仁さんが零さんの考えと同じだった。

ーーーさすが推理だな。その通り、テレビの奥にいるのはクローン人間だ。さて、今から本題を入れるね。ゲームについて説明する。6人の中に誰かの一人だけ達成すれば、テレビの向こうにいるクローン人間を置き換えて君らが望んでいる楽に働けるようになる。しかし、失敗すればここで過重労働として働いてもらう。覚悟を持って頑張ってね♡ーーー

芽衣さんがヘナヘナと腰を抜けて、尻餅をつけた。

樹さんは衝動に駈けられないように握り拳を作って耐えた。

陽毬さんは普通に真面目に話を聞いているけど、顔を見ると余裕がない。

仁さんはいつも通りに冷静に話を聞いている。

俊介さんは…さっきから様子がおかしい。普通なら感情的になりやすいなのに、今は何も起きていなくて黙り込んでいる。二人との間に何があったのかなと心の中で呟いた。

ーーーそれぞれの部屋に向かい合いのドアがあるよね。そこに入ればゲームがスタート開始。どんな内容があるのは、このドアに入ってからわかるので、楽しみにしてね♡。健闘を祈る、じゃあまた会おうーーー

フッと電源が消した。

同時に6人とも黙り込む。

クローン人間だと、生き残れるのは一人だけだと、達成できなった人は過重労働だと、6人が想像したより過酷だ…。



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