第4話 部屋に閉じ込まれた

「おい、起きろ零さん!」

誰か俺を呼んでた?

目を覚ますと、樹さんがいた。

「樹さん?他はいるか?」

「いや、いない。零さんと俺だけしかいない」

え?僕と樹さんだけ?

ようやく気づいて、起き上がったら部屋にいた。

普通の部屋ではなく、机も椅子もベッドも窓も飾るものもない。

残されたのは一つのドアだけだ。

「ギャーギャーと騒ぐな。静かにしろ」

「あ、ごめん」

二人だけ床に座って、待つだけだ。

何かの指示が来るまで待つ。

時計もスマホもない。今何時なのかわからない。

何時間も閉じ込めれたかもわからない。

時間を経ったが、何もなかった。

黙り続けるとなんだか気まずいなと思った。

「樹さん、なんで同意した?」

「・・・別に。ただ楽に生活をしたいだけだ」

「そっちは?」

「僕?僕は…俊介さんを見捨てられないので一緒に参加した」

「ふーん、友達の縁が強いんだな」ボソッと小さな声で「まあ、俺はこういうものはない」と呟いた。

「え?何を言った?」

「いやなんでもねぇわ。…君、本当に男なの?又は女なの?」

ゾッと鳥肌を立った。

この樹さんの瞳を見ると、前に誘拐された男の瞳に似ている。

この瞳は本当に男なのか好奇心を溢れている。

「脱いでみて」

「え?ここ?なんで?」

「なんでって本当に男なのか証明したければ脱いでみな!」

君の首を噛みちぎるような表情になって、僕に威嚇をした。

逆らうことができなくて、樹さんの指示を従って服を脱いだ。

胸だけ少しだけ膨らんでいた。

下には男性器だった。

「・・・君、男性でも女性でもないって男女を混ぜているということなの?」

「うん…そうだ。でも僕は男性だ」

「ほお、なるほど」

ハアハアと聞こえた。

樹さんが興奮している?

「もうダメだ、我慢できない」

僕に近づけ、僕のお尻を触れた。

触れる感覚が記憶に繋がり、過去に遡って、嘔吐を吐いた。

嘔吐する零さんを見ると、なぜか分からないけど、背中に冷や汗を流した。

「・・・悪りぃ、怖がらせるつもりはなかった。零さん大丈夫?」

ポケットの中から取り出して、僕に渡した。

受け取って、汚れた口を拭いた。

「ごめん…ちょっとトラウマを思い出してしまって…」

弱っている僕を見て、樹さんまでも悲しくなった。

「ごめん、本当に悪かった」

「ううん、でも樹さんは本気に襲わないと、頭の中でわかってた。でも、体が勝手に拒否をしてしまった」

「え?それってどういう意味?」

「僕は相手にどんな気持ちなのか読み取ることができる。まあ、色々な人に被害をされていたが、そのおかげで少しずつ相手の表情を読み取れるようになった。表情と言葉の裏に何があるのかも理解できるようになった。多分、本能的に感じ取ったと思う。…樹さんは、本当は人を傷つけてほしくないよね。」

「…その通りだ。君の気持ちは俺によく似てる。俺は困っている人を助けるのが好きだった。でもいじめっ子はいじめるのをやめなかった。それで俺はキレて、もういじめることができない体にしてやると殴った」

「そうだったか…」

「うん、だが、この判断は間違ってた。ケンカ好きと灼印を押されてしまった。それで周りの人は俺を遠ざけた。助けたいじめられっ子も離れていった。もうこの社会で生きていくのは難しいと思った。だから当選された時は本当に嬉しかった。社会に一切関わらず、一人だけ稼ぎたい」

「…僕も男性のこと怖い。少し前にも誘拐された。自分の身体で遊んだ。本当に辛い。誰かと一緒に働きたくない。一人だけ仕事をしたい」

「そうだったか、やはり俺たちは似たな人だな」

俺たち似ている…?

え、もしかしたら閉じ込められた僕たちは…社会を嫌った人、必要されない人?

誰にも頼りたくない、誰かと協調したくない、一人だけ働くことを望んでいる人を集まっている?

一瞬に頭の中で混乱した。

「おい、どうした?大丈夫か?」

「いや…樹さんの話を聞いて何かの共通点があると思った…あれ?ドアが開けてる?」

「え?」

前に向いたらドアが開けていた。

鍵を開ける音はしなかったのに、勝手に開けられた。

もしかしたら真実を気づいたら、ドアを開けることができるということかな?

恐れ恐れながら零さんと樹さんが開いたドアに近づく。

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