第6話


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捕らわれたアムゼイ派は全員一階級爵位を落とした。

最下層の男爵は准男爵バロネットとなる。

そして次代が育っているなら譲位し領地で蟄居となった。

それ以外は親族へ譲位となった。

……それでお咎めなしなら、と誰もが喜んだ。


ただし、メイシャンには迷惑をかけたとして慰謝料が支払われた。

女性を大の男たちが取り囲むという非常識で無礼を働いたのだ。

それも友好国の皇太子御夫妻の暗殺で手配書が届いているのを知りつつ加担した。

謝罪の手紙と共に割り増しの慰謝料を支払うことで反省パフォーマンスに変えたのだ。

サクッとメイシャンに拒否され、慌てた新当主たちが土下座パフォーマンスに切り替えたものの許されることはなかった。

最後のパーティーを荒らしたのだから、謝罪は全貴族に向けてであり、慰謝料はメイシャン同様、卒業と共に貴族籍を抜ける者たちに同率の慰謝料を支払う必要があったのだ。


何より国家転覆の罪がある。

王太子アムゼイにすり寄り、危険人物との接触を見逃し、共謀し賛同した。

言い訳などできぬ。


さらに、妊婦だった公爵夫人の一件も忘れている。

早産とはいえ救われた小さな生命。

出血が落ち着いた夫人の望みどおり公爵家に帰らせた。

王家より女医二名の同行を申し出て許された。

帰宅後に安心したのか、精神的な負担が大きかったのか。

すぐに陣痛が始まった。

女医二人のおかげで、第三子となる令嬢が無事に生まれた。


公爵の「無事に生まれたことで、罪はアムゼイ元王子のみに」という申し出により許されたのだ。

それを理解できなかったアムゼイ派は急激に規模を縮小し、新王太子派に乗り換えることもできなかった。



メイシャンにはアムゼイの罪に対する慰謝料のほかに、王族同様の様々な権限が与えられた。

それは権力によってメイシャンの人生が脅かされないようにするため。

その代わりには国王が手にした。

このままメイシャンに権限を与えてしまえば、一生アムゼイに関わらせることになる。


「アムゼイを奴隷の身分から解放することはない。元第二貴妃モルビアも同様だ。またアダマン伯爵にも同様の処分を与える。皇国もそれはお認めになった。なお三人の身柄は皇国に譲り、以降は一切関わらないことを約束する」


それは大きな問題だった。

隷属の魔導具により自我を奪い、そのまま皇国へと送る。

装着させた者が外さないと永遠のときを生きる。




王太子を廃すこと。

よって新王太子にサリーナが推されたものの、彼女はメイシャンと共に錬金術師になるため王位継承権も王族の身分も投げ捨てた。

それを生母である王妃が嘆く。


「ルービンといいサリーナといい……わたくし、どこで子育てに失敗したのかしら?」

「王妃様、二人は生涯をかけて続けたいことを見つけたのですよ。ですが、ルービンが婚約を破棄したことも、メイシャンを王族に関わらせない契約の本当の意図をご存知ないのですか?」


王子や王女たちは笑いを止められない。

親世代には理解できなかったが、三年後にある知らせが届いた。



錬金術師ルービン、同じく錬金術師メイシャン。

一大カップル、めでたくゴールイン!!!



二人は国王・王妃としてではなく、ただの錬金術師の夫婦という立場で掴める幸せを望んでいたのだった。

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