#60 怯え肩寄せ合う3人
※クミ視点
夜中に目が覚め、その後なんとか寝れたけど、再び起きると気分は最悪だった。
シャワーを浴びたくて、洗面所に行き鏡で自分の顔を見ると、夜中に比べて大分顔色は良くなった様だけど、目が真っ赤に充血して、顔もむくんでいた。
多分、寝ながらずっと泣いていたんだと思う。
シャワーを浴び終えて部屋に戻ると、チョコちゃんが既に来ていた。
「あれ?チョコちゃんどうしたの? 来るの10時じゃなかったっけ? まだ8時だよ?」
「クミちゃん、朝早くにごめんなさい。どうしてもクミちゃんに相談したいことが出来まして」
そう話すチョコちゃんの顔を見ると、先ほど鏡でみた私の顔と同じように、泣きはらした後の様な顔をしていた。
「わかった。 うん、わたしも相談したいことが出来たの」
部屋着に着替えて、ベッドの端にチョコちゃんと並んで座る。
私はチョコちゃんの手を握りしめながら、チョコちゃんの話を聞いた。
チョコちゃんの話は驚くべきことに、私が見た夢の内容と酷似した夢の話だった。
知らない間に妊娠していて、でもその相手はコータくんでは無く別の男性だと私に教えられ、それが信じられなくてコータくんに会いに家に行くと、お葬式が行われていて、妹ちゃんに「お前のせいでコータが自○したんだ!」と殴られ蹴られ続けたと。
「クミちゃん、私、絶対にこんなことしないよ・・・コータくんのこと裏切ったりしないよ? ただの夢だよね? こんなこと起こるはずないよね?」
「・・・・チョコちゃん、実は私から相談したかったのも、全く同じ話なの。 私も昨日の夜、同じ様な夢見たの」
「クミちゃんも?」
「うん・・・わたしがコータくんのこと裏切って、妊娠して、それでコータくんが・・・」
二人の間に沈黙が続く。
チョコちゃんの手がガタガタと震えるのを私は両手で握って、必死に抑えようとした。
「チョコちゃん、わたしたちが同じような夢を同じタイミングで見たのって、何か意味があるんだと思う」
「はい・・・」
「最初、私はこの夢を教訓だと思ったの。 こうならない様に気を引き締めろ!って」
「でも、チョコちゃんも同じ夢を見たということは、何かが起きるのかも・・・何かは解らないけど・・・」
「・・・・・」
「そだ、あのね、コータくん今日ウチに来るでしょ?」
「はい」
「コータくんにもこの夢の話を相談してみようよ」
「え・・・でも・・・」
「ただの悪夢の話だよ? 私たちコータくんに対して何も後ろめたいことなんてしてないんだよ?」
「そうですね・・・今は怖くて怖くて、クミちゃんとコータくんに
「だから、判りました。コータくん来たら相談してみましょう」
その後、9時前にコータくんもやって来た。
『クミちゃん、約束の10時前に来ちゃってごめん・・・でもどうしても二人の顔が見たくて・・・』
そう言うコータくんの顔は、今にも泣きそうな悲壮感漂う表情をしていた。
「うん、私たちもコータくんの顔、少しでも早く見たかったんだ」
少しでもコータくんに安心して貰おうと、私は自分の不安を悟られない様に一生懸命笑顔を作って、コータくんをハグした。 チョコちゃんも私に続いて私たちに抱き着いた。
コータくんの温もりを感じた途端、体中に安心感が満たされた。
私はガマン出来なくなって、コータくんにキスした。
何度も何度も顔中にキスした。
チョコちゃんも私と同じ様にコータくんの顔中にキスした。
二人からキスの嵐を受けていたコータくんは、バランスを崩してしまい私のベッドに倒れ込んだ。
コータくんが倒れ込んでもそのまま抱き着いて、私とチョコちゃんはキスを止めなかった。
5分か10分か判らないけど、随分長い時間、キスし続けた。
『そろそろストップ! 一旦落ち着こう!』とコータくんの一声でキスをするのを止めた。
『とりあえず、二人にも何かあったのかな・・・・?』
「うん・・・」
『そっか・・・僕もさ、昨日の夜、地獄の様な夢見ちゃってね・・・それでとても不安で不安で、それで二人に会いたくてさ・・・』
え・・・コータくんも夢を・・・?
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