#56 守護神のカズダンス
2学期と言えば、定番の学園イベントが待っている。
ウチの高校の場合だと、文化祭に球技大会。
ただ、ウチの高校、文化祭は学内のみのイベントだし、お店とかの金銭のやり取りがある出し物は禁止なのよね。
じゃぁ何やるの?って言うと、クラス別に体育館のステージで劇やったり演奏や歌うたったり、何かテーマ決めて調査したレポートを教室で発表したり、要は名前通りの文化に因んだ発表会。ぶっちゃけ全く盛り上がらない。こんなので喜ぶのはゼントラーディのおっさん達くらいだ。
どちらかというと、球技大会のが盛り上がってるだろう。
種目は、男子はサッカーとバスケと卓球。女子はドッチボールとバスケと卓球
全員必ずどれかに出場しなくてはいけなくて、サッカー&ドッチは11名、バスケは5名で残りは卓球に個人で出場。
クラスによって男女の人数が違ってたりするから、卓球は人数調整用の種目なんだろうね。
で、わたくし、今年は最初から卓球狙いでして、ええ、チーム種目とかに入ると強制的に練習とか参加させられて、面倒じゃないですか。
折角の放課後いちゃいちゃタイムを邪魔されたくないので、卓球にして練習無しの本番も初戦敗退目指してサボろうと。
HRでの話し合い、出場種目の希望をクラス委員が募った瞬間
『ハイハイ!僕、卓球! ピンポン任せて!』と勢いよく立候補すると、マサカズとケンが異議を唱えた。
「コータはダメだ。お前に選択権は無い。サッカーに決定しているからな」と。
『いやおかしいだろ!本人が卓球出たいって言ってるのにさ!』
そんな不満を訴えていると、ふと視線を感じた。
クミちゃんがジト目で僕のこと凝視してる・・・
あ、そうか・・・クミちゃん、自分のせいで僕がサッカー辞めたと思ってるのか・・・
そんな目で見られてしまうと、僕の反骨スピリットも萎んでしまい、マサカズにされるがままサッカーに決まってしまった。
しかし、最後の抵抗として
『いいかよく聞け!僕は
因みに、クミちゃんとチョコちゃんは二人ともドッチボールに出場することに。
◇
球技大会当日、秋晴れの日差しは強いけど風が涼しい、球技大会日和とでも言おうか、そんなどこか爽やかな朝を迎えた。
朝イチは、サッカーの試合が無く、先に女子のドッチの試合があったのでクミちゃんとチョコちゃんの応援に行く。
クミちゃんがボール取って投げる度にぶよんぶよんする
でも、そんな応援を続けていたら、相手チーム(女子)から滅茶苦茶
因みにチョコちゃんは、ひたすら気配を消して逃げ回り、一度もボールを触ることが無かった。
サッカーの方は、ケンがトップでマサカズが中盤をすると言うので、僕はキーパーすることに。
因みにサッカー部時代は中盤かディフェンスしてたけど、球技大会みたいな素人相手ならキーパーでテキトーに流してれば楽出来ると思い、自ら志願した。
で、実際に試合はどうだったかと言うと、なんだかんだと久しぶりのサッカーで楽しくなってしまい、決勝までの3試合、無失点、8アシスト、2得点。
相手にシュート打たれる前にガンガン前に出てボール奪っては、超ロングパス蹴り出してくストロングスタイル。
面白い様に自陣ゴール前からのアシストやシュートが決まってたね。
だって、コートの広さが公式の半分なんだよ。
フットサルよりも広いけど、ゴールからゴールまで簡単に届いちゃうの。
一切手加減無しで相手ゴール前にガンガン放り込んでやったね!
ゴールキックからのシュートが決まっちゃった時なんて、思わずカズダンスしちゃったよ。自分のゴール前で。
結局、決勝でも危なげなく勝って、ウチのクラスが優勝。
最終的に、4試合、無失点、9アシスト、2得点。
得点王はケンだったけど、アシスト数はマサカズ抑えて僕が一位。
そもそも、ケンの得点の大半が僕のアシストによるものだ。
試合終わった後、クミちゃんから
『サッカーのキーパーって守備する人かと思ってたけど違ってた』と。
うん、それで合ってるよ。
今日の僕がおかしいだけだからね。
因みに、キーパーなのに9アシストという異例の大活躍をしたと言うのに、マサカズ&ケンの人気イケメン二人が出場していた為、女子の黄色い声援は全て二人に向けられ、僕がシュート決めてカズダンスしてても、チョコちゃんしか反応無かった。
だって、ゴールキックからの相手ゴールに決まるまでを見てない人からしてみれば「なんであのキーパー、試合中に踊ってるの?」って感じだし、最後のポーズだけ見たら「あいつ試合中にチンコおさえてるぜ」ってなもんだ。
実際、ゴール近くの応援席から「お兄ちゃん、チンコ押さえてる」ってチョコちゃんの呟く声が聞こえてたし。
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