#53 BBQとデザート







 開始時間を夕方5時とみんなに伝えていたけど、4時前には徐々に集まり始めていたので4時半には開始した。


 僕とマサカズがそれぞれのコンロの焼き係を担当して、クミちゃんとチョコちゃんはそれぞれのフォローをした。


 他のみんなも色々協力してくれて、ゴミが出れば直ぐ片づけてくれるし、足りない物があると直ぐに動いてくれた。

 僕たち焼き係が食べる時間もケンとサキちゃんが交代してくれて、ゆっくり食べる事が出来た。


 僕の助手をしてくれたクミちゃんが、みんなが居るのにココぞとばかりに「コータくん、あーん♪」とか「汗ふいてあげるね♪」といちゃいちゃアピールをして、それを見ていたチョコちゃんもスイッチが入ったのか、僕が焼き係の休憩中に縁側に座って食べていると、強引に僕のヒザの上に座って「お兄ちゃん、チヨコがウインナー食べさせてあげるね♪」とやり始め、マサカズとサキちゃんをドン引きさせていた。

 ぼっち先輩達は、いつもの見慣れている光景の為か、食べることに集中していた。



 時間が7時になるころには、みんなのお腹も膨れ、どちらのコンロも焼くのをストップした。



 みんな思い思いに飲み物片手にお喋りしていて、僕もクミちゃんとお喋りしながら片づけをしていた。

 チョコちゃんは食べすぎでダウンしていて、ヒナタさんと鈴木さんに介抱されていた。



 ある程度片づけが進むと、クミちゃんママがデザートを用意してくれた。


 デザートは、クミちゃんが前日に作ったフルーツのゼリーとヒナタさんが持ってきた手作りのマドレーヌ、ケン&サキちゃんが買ってきたスイカだった。



 僕は1つづつ食べながら、用意してくれた人にお礼を言って回った。


 ヒナタさんにも一言だけお礼を言った。


『水木さん、マドレーヌ美味しかったよ。ありがとうね!』


「う、うん。 コータくんもバーベキューご苦労さまでした」


『いえいえ、どういたしまして! じゃぁ、ゆっくりしててね!』



 ヒナタさんの手作りのお菓子食べるの、初めてだったんだよね。

 付き合ってた頃は、今思えば恋人らしいことなんて全然してなかったから、お菓子や料理を手作りで作ってもらうなんていうイベントは想像出来なかったかな。 いや、想像くらいはしてたけど、高望みだと思って最初から諦めてたのかも。


 それが、別れて数か月してから食べる機会に恵まれるとは・・・

 と、一人物思いにふけっていると、クミちゃんに捕まり強引にイスに座らされて、またゼリーを「あーん♪」と食べさせられた。 

 クミちゃん、口に出して言わないけど、クミちゃんには多分僕の考えてたことが分かってるんだと思った。




 一通りデザートを食べ終えると、ぼっち先輩たちが用意してくれた花火で遊んだ。


 花火をしながら佐田くんと近藤くんに今日の感想を尋ねると「たまにはこういうのも悪くないですな」とメガネをクィっとしながら話してくれた。

 鈴木さんにも同じことを聞こうとしたら、ヒナタさんとの会話に夢中になっている様で「だからコータ氏はケン氏にマサカズ氏を奪われた腹いせに、佐田氏と近藤氏を使ってケン氏を罠に嵌めて」と相変わらずBLな妄想を垂れ流してた。




 9時にはお開きとなり、みんなで最後の後片付けをして解散となった。


 チョコちゃんと僕はこのままクミちゃんちにお泊りすることになってたので、マサカズたちに女の子たちを家まで送るのを任せて、みんなが帰るのを見送った。



『クミちゃん、チョコちゃん、お疲れ様! みんな楽しんでくれたみたいで、良かったね!』


「楽しかったけど、結構疲れたね~」


「私は食べすぎました・・・初めてのバーベキューで楽しくてついつい」


「チョコちゃん、途中からダウンしてたもんね。 今夜は早めに休もうか」


「そうだね~、髪とか煙の臭いで臭くなっちゃったから、早くシャワー浴びたい!」


『じゃぁ、キッチンで洗い物しながら交代でお風呂入ろうか。 先にキッチンに行って洗い物しとくから二人はシャワー浴びておいでよ』


「うん、そうするー」




 その後、洗い物とシャワーを終えて、クミちゃんの部屋でまったりお喋りをして11時には寝ることにした。



 寝る前に、チョコちゃんが見ている前でクミちゃんとお休みのディープキスをした。

 同じくクミちゃんの見ている前でチョコちゃんにほっぺにキスして貰い、僕もチョコちゃんのほっぺにお返しのキスをした。


 照明を消して3人ともタオルケットを被って横になると、クミちゃんもチョコちゃんも直ぐに寝息を立て始めた。


 薄暗い部屋の中、二人の寝息を聞きながら一人でぼーっと考えてた。


 二人とのキスは、お互い見られながらで異常な状況だと思いつつも、不快に思うことは無かった。

 クミちゃんは、僕たち3人の絆を強くしたいと考えてると言っていた。

 僕はクミちゃんを信じて、付いていくだけで良いんだろうと思う。


 そう結論づけると、薄明りを頼りにクミちゃんのオデコにキスをして、次にチョコちゃんのオデコにもキスをして、眠りについた。


















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