#51 女の子の気持ちは難解
園内を目的も無く二人で手を繋いで歩いていると売店を見つけ、そこでソフトクリームを2つ購入した。
丁度近くの木陰にベンチがあったので、そこに座ってソフトクリームを食べた。
『結構日差し強くなってきたね。日焼け対策とか大丈夫?』
「一応日焼け止め塗ってるけど、もう一回塗り直しておこうかな」
『うん、その方が良さそう。 そういえば日焼け対策と言えば、一昨日のチョコちゃん、最初日傘さして現れたのに、やっぱり邪魔になったのか直ぐに閉じちゃって、結局僕が預かってたよ』
「その話聞いた! お上品に行くつもりだったのに、って言ってた」
『結局、チョコちゃんはキャラブレブレだったし、相変わらず面白い子だ』
この流れはチャンスだ!と思い、チョコちゃんのことを聞いた
『そうそう、そういえば! クミちゃんからの宿題だって言って、チョコちゃんがキスしてくれたんだけど、宿題ってなんだったの?』
「そのままだよ? コータくんとのデートで、チョコちゃんからキスすることが宿題だったの」
『なんでまた?』
「え?そんなの決まってるじゃん。 チョコちゃんがコータくんに好意を持ってるからだよ」
『・・・・・チョコちゃんが僕に好意? 妹になり切ってお兄ちゃんとして見てるんじゃないの? というか僕とクミちゃんのこと応援してくれるって言ってたし・・・・いやそれより、クミちゃんは僕とチョコちゃんがキスしても平気なの?』
「まってまって、質問多すぎ」
「コータくん、チョコちゃんのこと分かってる様で、どうも勘違いしてるみたいだね」
『勘違い?』
「そう。チョコちゃんにとってのお兄ちゃんって、リアルな兄弟とは全く別のものだよ? あくまでチョコちゃんにとってのお兄ちゃんって、ラノベの中での
確かに、ラノベの中だと、現実では考えられない様な兄妹の恋愛話で
『あー・・・そういうことか・・・僕はそこが解ってなかったのか・・・じゃぁチョコちゃんは僕に恋愛感情があるということ?』
「そこは、私から言うのはフェアじゃないと思うので、ノーコメント」
『う~ん、でもクミちゃんは、僕のこと好きで居てくれるのに、チョコちゃんに僕とキスするように仕向けたんでしょ?』
「うん、そうだね」
『それって平気なの?』
「う~ん、他の人だったら平気じゃない。 絶対に阻止する。 でもチョコちゃんは別なんだよね。 私とチョコちゃんは特別な関係なの」
『特別・・・』
「でも、ここで私が勝手にそのことを詳しくは話せないから、私とチョコちゃんとの事を話すのは少し時間が欲しいかな」
『そっか、なら無理には聞かない』
「ごめんね、色々悩ませちゃってるよね? でも、罰ゲームとか面白がってとかふざけてとかじゃないからね」
『うん、わかった。 でも、そうか、チョコちゃんのこと親友だと思ってても、チョコちゃんの気持ちは別で、親友だっていうのは僕の一方的な思いの可能性があるのあか・・・』
「その辺りは、多分、チョコちゃん自身もよく解ってないと思うよ。 まぁ、近々3人でその辺り話し合おうよ」
『なんか、仲良し3人組みたいに楽しく過ごしてたけど、色々と裏事情とかもあるのかな・・・』
「不安?」
『ちょっと不安かな・・・3人で遊ぶの凄く楽しくて、なんかこの関係が壊れたりするのが嫌だな』
「あー、3人の関係を壊すつもりは私もチョコちゃんも全く無いよ。 むしろ・・・もっと強力な絆にしたい?」
「まぁ、その辺りは今度話し合う時にでもね? とにかく今は、私のこともチョコちゃんのことも信じていて欲しいの」
『わかった。 信じるよ』と即答して、ベンチから立ち上がった。
「そろそろ帰ろっか」と言ってクミちゃんも立ち上がり、手を繋いだ。
朝に感じた、クミちゃんがチョコちゃんの話題を避けているというのは、多分、聞かれても答えにくいから今は聞いて欲しくない、ということだったんだろうと思った。
だから、僕もそれ以上は聞くのを止めて、デートの続きを楽しむことにした。
帰りは色々クミちゃんが行きたがったお買い物に寄り道しつつ、いつもの様にクミちゃんの家まで送って行った。
家の前で別れる時、お昼にしたときの様に、濃厚なキスをした。
クミちゃんちからの帰り道一人になった僕は、思わず
『女の子って、何考えてるのかさっぱり解らん・・・』と独り言を零した。
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