#48 深窓の妹(ニセ)
今度、チョコちゃんとクミちゃん、それぞれとデートをする為、今日は3人でデートの打ち合わせをすることになった。
クミちゃんとは修学旅行前に一度お買い物デートをしているけど、チョコちゃんとは初めてだ。
とりあえず、僕には特に行きたいところとかやりたいことなんかの希望は無いので、二人の希望に沿ってデートすることに。
で、チョコちゃんの希望はというと
「やはりお家でのイチャイチャデートでしょうか」
『ほう?具体的には?』
「朝お兄ちゃんを起こすところからでして、制服にエプロンの妹がお玉片手に寝ているお兄ちゃんに馬乗りになって「お兄ちゃんおはよう」と言って起こして、妹の手作りの朝食一緒に食べたら「毎朝ありがとうな」と労いの言葉と共に頭をナデナデして貰い・・・一緒に玄関出て仲良く腕組んで登校します」
『却下。 そもそも学校休みだよ?』
「では、お風呂の後の着替え中の所をお兄ちゃんが知らずに扉開けて「きゃ!」「ご、ごめん」とお互い照れながらも「お、お兄ちゃんなら見られてもいいよ・・・」と頬を赤らめ」
『却下!』
「じゃーもーいいです。ソファに座るお兄ちゃんのヒザの上に座って、テレビでも見ながら頭ナデナデしてくれるだけで」
『だから、デートのプランの相談でしょ? チョコちゃんの性癖の話になってるよ?』
「ううう、クミ姉さま助けてくださいー! 男子と二人きりでデートなんて真似、私には無理ですよー!」
「じゃぁ、普通に定番のデートでもしたら?映画見るとか遊園地行くとか、本屋巡りとかでもどう?」
『そうだねぇ』
ということで、本屋行って、その後ランチ&カフェを回ることになった。
ランチ&カフェは、3人でスマホ使ってリサーチして決めた。
そしてクミちゃんの方はというと
「ホントは泊りがけで温泉に行きたいんだけど、今からじゃ予約無理だしぃ~」
『え?泊まりなの???』
「美味しい物食べ歩きとかもしたいけど、太るのも困るしぃ~」
『・・・・・』(修学旅行でのトラウマが・・・)
「あ、動物園とか行ってみたいかも?」
『ほう、何か好きな動物でもいるの?』
「う~ん、特に居ないけど・・・でもお弁当とか持って、動物園回って、お昼はお弁当食べてって、ちょっと憧れる」
『じゃぁ、お弁当はクミちゃんが作ってくれるの?それとも僕も作ろうか?』
「あ、そうだ! 二人で手作り弁当持参して、交換してみない?」
『うん、いいよ。 クミちゃんの手作り弁当かぁ、楽しみだなぁ』
ということで、クミちゃんとは動物園&お弁当交換イベントと決まった。
◇
そしてチョコちゃんとのデート当日。
待ち合わせ場所の駅前で待っていると、約束の時間より少し前に現れたチョコちゃん、ダークブラウンのロングスカートのワンピースに白のカーティガン羽織って、日傘さしてる。 そして何故かメガネ。
一言で言うと、清楚なお嬢様風?
あ、日傘さしてて分らなかったけど、髪が黒から少し明るくブラウンになってる。 昨日クミちゃんと美容院行くっていってたな。
『チョコちゃん、おはよー! なんかいつもと違う
「お兄サマ、おはようございます。 今日のチヨコは、文学少女バージョンです。イメージは深窓の妹です」
『それでメガネ?って伊達メガネなのね』
「はい。 こういうキャラの需要もあるかと思いまして、本日限りのメガネチヨコです。ハイ」
『なるほど・・・・』 (まぁその発想はチョコちゃんらしいな)
『じゃぁ、行こっか』
「はい、お兄サマ行きましょう」
そう言ってチョコちゃんは、僕の左腕を掴んで並んで歩いた。
しかし、日傘さしたままでは腕組むのに邪魔だったのか、結局すぐに閉じて、日傘はただの荷物になっていた。
本屋さんでは、本当は僕も色々見て回りたかったけど。今日はチョコちゃんの為のデートなので、ずっとチョコちゃんの傍で付いて周った。
と言っても、ずっとラノベコーナーに居たんだけどね。
因みにチョコちゃんは書店に入ると、今日の設定忘れたのか素に戻って
「コータくん!新刊出てますよ! ぐぅ・・・昨日美容院行ったので今月は厳しい!5冊は欲しかったのにこの後の食事を考えると2冊が限界か!?」っていつもの様に早口で興奮しながら悔しがってた。
とりあえず、チョコちゃん興奮して新刊を物色してたので、日傘を預かって、チョコちゃんから離れない様に僕も新刊ラノベの表紙を見て回った。
チョコちゃんが1時間かけてようやく2冊選び終わったので
「あと1冊僕からプレゼントするから、もう1冊選びなよ」と言うと
なんですと!?って顔したあと、ガバって僕に抱き着いて
『おにーちゃんだいしゅき♡ あとでいっぱいサービスしちゃいましゅね♪』と、キャラブレまくりで調子いいこと言ってた。
僕も後で行くカフェでの読書用に1冊購入して、書店を出た。
ランチは、パスタのお店を予約していた。
女性に人気のお店らしく、お店に着くと12時前なのにほぼ満席のようだった。
テーブル席で向かい合って座り、料理を待つ間、修学旅行や夏休みに入ってからの思い出話に花を咲かせた。
楽しそうに話すチョコちゃんは、仲良くなった最初の頃と違って、明るくて笑顔が素敵で本当に女の子らしくてチャーミングだった。
『チョコちゃん、以前と違って随分と明るくなったよね。 表情も凄く明るくなって、髪も明るくて似合ってるし、とってもかわいくなったよ』
「ううう・・・・あまり容姿のことをホメられるのは・・・未だに慣れません・・・」
『そう?でも、本当に可愛くなったよ。それに、いっぱいお喋りしてくれるようになって、前はいっつも僕ばっか喋ってたのにね。いまはドチラかというと逆転してるかも?』
「そ、それは・・・コータく、あ、違った。 お兄サマ相手だからですわ」
『え?ここでまさかの軌道修正!?』
「お兄サマだから何でも話せるのです。他の方たち相手ではとてもお話することなんて出来ませんわ・・・」
そして、コホンと咳払いし、伊達メガネをクイっと上げてから僕の方を真っ直ぐに見て
「わたしは、お兄サマのことが大好きです。ずっとお兄サマと一緒に居たいのです。慣れないお洒落やお化粧するのも、お兄サマに少しでも気に入って貰いたいからなのです。お兄サマ、私とずっと一緒に居てくれますか?」
キャラ作ったまま言ってるから、いつものなりきりなのか、でも真剣な表情から本気の言葉なのか、よく分からないけど、まるで愛の告白だった。
でも顔が真っ赤だから、ふざけてる訳じゃなくてきっとチョコちゃんの本音なんだろう。
今までと同じく、友達としてずっと一緒に、ということなんだろうな。
『チョコちゃん、僕もチョコちゃんのこと大好きだよ。 僕が落ち込んでた時、チョコちゃんがずっと傍に居てくれて本当に助けられたんだ。 これからも仲良く一緒に居ようね』
「はい! ずっと一緒です!」
最後の言葉だけは、いつものチョコちゃんだった。
◇
カフェでまったりと読書タイムを過ごした後、デートの最後にチョコちゃんのお家まで送って行った。
家の前まで来るとチョコちゃんは
「クミちゃんから宿題が出てるんです・・・」
『クミちゃん?』
「はい・・・・今からその宿題します!」
『うん。どうぞ?』
僕が返事をすると同時に、ほっぺにキスされた。
僕から離れると、チョコちゃんはこれまでに見た事ないくらいの真っ赤な顔をしていた。
『ちょ!え!? あ、めちゃくちゃ顔赤いけどだいじょうぶ!?』
「ああああの! おやすみなしゃい!」
叫ぶようにそう言って、チョコちゃんは走って玄関に入ってしまった。
なんで、クミちゃん・・・?
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