#23 突撃、下着売り場




 ショッピングセンターにバスが着き、降りてからもずっと手を繋いで歩いた。


 クミちゃんの横顔を見ると機嫌が良さそうで何よりだ。

 僕も嬉しくてずっと顔がニヤけっぱなし。




 今日の買い物は、クミちゃんメインなので行くお店もクミちゃんにお任せしてて、僕は付いていくだけ。


 途中すれ違う人、とくに男性がクミちゃんのことをチラチラ見ていく。

 よくラノベだとこういう場面で(どうせ俺じゃぁこの子と釣り合ってませんよ!)とか(男どもの嫉妬の視線が痛い!)とか腑抜ふぬけたこと言ってるけど、僕はそんなラノベのクソ主人公どもとは違う!


 ふふふん♪ この子、超かわいいっしょ! おっぱいFカップなんだぜ~!

 僕この子とお友達なんだぁ♪

 手繋いじゃうくらい仲良しなんだよん♪

 羨ましーだろ!


 所詮、童貞男子高校生。

 邪念でいっぱいさ。




 最初に連れて行かれたお店は、女性もののランジェリーショップ。

 女性下着なんて妹のせんたくもので見慣れている僕にとって、何てことないさ。



 ・・・ごめんなさい、ウソです。

 ここに突撃するのはハードル高いです・・・。


 小動物の様なつぶらな瞳でクミちゃんに無言で訴えるも「ほら、入るよ」と言って、グイグイ連行された。


 わぁーい、白とか水色とかピンクとかいっぱいだぁ。

 まるでお花畑だね。

 心なしかいい匂いもするし。


 そんな現実逃避をしていると、クミちゃんは繋いでいた手を離して、商品を色々手に取って選び始めた。


 僕は突然一人ぼっちに置いてかれた幼子おさなごの心境になってしまい、クミちゃんの背後にピタリとくっ付いて(僕、不審者じゃありませんよ!この人の連れですからね!)と周囲にアピールすることにした。


 しかし、クミちゃんはそんな僕の不安を余所に「これ持ってて」と言って、選んだ下着を僕に持たせようとしてきた。


『いや・・・その・・・ムリっす!』と精一杯拒絶の意思表示をしたものの


「大丈夫だから、あとコレとコレも持ってて」と取り付く島なっしんぐ。


 コノヤロー!だいじょーぶじゃねーよ!

 いくらお人好しの僕だって、いい加減にしないと怒るよ!


「ねぇコータくん。白とピンク、どっちが好き?」


『あ、ピンクっす』


「じゃぁ、ピンクにするね♪」


 ちくしょー! 

 ピンクの下着姿のクミちゃんが僕の脳内に居座っちまったじゃないか!



 結局たっぷり1時間半、クミちゃんの下着選びに付き合わされた。

 僕の脳内には、ピンクだけじゃなくて、ブルーやグリーンの色とりどりの下着姿のクミちゃんが居座ることとなった。




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