#16 妹が増えました


 1週間後に期末試験を控え、ぼっち軍団+1の集まりは勉強会になっていた。

 場所が空き教室のままではみんなサボりだしてしまうということで、放課後図書室に集まり勉強していた。


 前回覇者(中間テスト学年1位)の僕は、既に当初の目的(僕をフったヒナタさんとヒナタさんが好きだと言う男よりも上の成績を取る)は達成してしまったので、今回は特に気負うことなく平常運転で勉強した。


 佐田くんと近藤くん、そして意外にも鈴木さんは元々成績上位者で、チョコちゃんとクミちゃんが真ん中あたりの成績ということで、僕は二人の勉強を見ながら自分の勉強もしていた。



 そういえば、すっかり忘れていたけど、ヒナタさんが好きな男って誰だったんだろう? まぁ、1位取った時点で余所の学校の生徒でない限り、僕の勝ちには違いないのでいいんだけどね。

 でも、急に思い出したせいか気になりだしたので、勉強中のクミちゃんに聞いてみた。


『クミちゃんクミちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど』


「ん~、なに?」


『ヒナタさんが好きになった人のこと、ヒナタさんから聞いてる?』


「え!?急にどうしたの?」


『いやさ、ふと思い出してさ、結局誰だったのか知らないままだし、もう僕もヒナタさんのこと引きずって無いから今なら聞いても平気かな?って思ってさ』


「う~ん・・・聞いてないよ。私にも教えてくれなかったよ」


 ん?なんか引っかかる言い方だなぁ。

 知ってるけど、言えないのかな。

 なら仕方ないか。


『そっか、まぁいっか。急に変なこと聞いてごめんね』


「ううん、大丈夫だよ」


 そんな会話をしつつも、みんな真面目に勉強を続けた。



 ぼっち軍団の放課後勉強会は毎日続けた。

 テスト直前の週末金曜日の帰り道、クミちゃんとチョコちゃんの3人で歩いていると、チョコちゃんが「あ、あのコータくん・・・私、数学がまだ解らないところいっぱいで、お休みの日も勉強見て貰えないかな・・・・?」と僕に相談してきた。

 それ聞いて僕が返事するよりも先にクミちゃんが「じゃぁ、コータくんの家で勉強会しよう! 私も参加するからね!」と勝手に決められた。


 まぁ、チョコちゃんにもクミちゃんおっぱいにも日頃からの感謝の気持ちがあるので、断ることなんて出来ないし、いいんだけどね。





 土日とも朝から夕方までみっちりやりたいという要望と、チョコちゃんはウチに来るのが初めてで場所とか知らないから、土曜の朝にチョコちゃんの家に一度集合してから僕の家に移動して、僕の部屋で勉強することになった。


 初めてウチに来たチョコちゃんは最初緊張気味だったのに、ウチの妹(1個下の高1)と遭遇した途端、豹変して発情し出したので、僕とクミちゃんで羽交い絞めにして僕の部屋まで連行した。


 勉強を始めてからもチョコちゃんのスイッチは入りっぱなしで、勉強そっちのけで

「妹ちゃんはコータくんのこと何て呼んでるの? おにいちゃん? おにい? まさかの兄上!? リアル妹ちゃんバブみしゅごい・・・」

 兄上ってなんだよ!

「妹ちゃんがお風呂場で着替え中なの知らずに扉開けちゃったことはあるの? そういう時ってやっぱり気まずい空気になるの?」

 ねーよ!

「夜中に妹ちゃんが寝惚けてコータくんのベッドに間違えて入ってくることあるの? それって妹ちゃんワザとかな? 相手が妹ちゃんでも朝までモンモンとしちゃうの?」

 それもねーよ!

「といいますか、私も今からコータくんのこと、おにいちゃんって呼んでもいいですか!? あぁ、コータきゅんがおにいちゃんとか、しゅごい・・・鼻血でそう・・・」


 もう暴走チョコちゃんが止まらない。

 暴走したチョコちゃんを初めて見たクミちゃんは、ドン引きしてるし。


『あの~、チョコちゃん? チョコちゃんが言い出した勉強会だよ? 勉強しようね?』


「ううう、でもでも、せめて”おにいちゃん”って呼ぶのだけでもぉ!」


『もうわかったよ!好きに呼んでいいよ!』と僕もやけくそ。


 それからその日はずっとチョコちゃんから「おにいちゃん♪」って呼ばれ続けた。

 そしてなぜかクミちゃんからも「おにぃ♪」って呼ばれ続けた。


 更に休憩の度に膝枕を要求されて、ニセの妹二人が僕のヒザを奪い合うというアホなことを続けた。


 なんだコイツら?

 頭イカレテるのか?


 因みに、実の妹からは「コータ」と呼び捨てにされてます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る