#15 ぼっち軍団+1でお買い物





 本日土曜日だけど、ぼっち軍団+1で集合している。


 それは何故かと言うと、修学旅行の時に使うリュックを買う為に。



 放課後の話し合いで「旅行を期にリュックを新調したいね」という話になって、元々僕を含めた5人は通学バッグはリュック派だったので「ならみんなで買いに行こうか」という話になった。


 もちろん、最近ぼっち軍団の集まりに参加しているクミちゃんも一緒だ。

 クミちゃんもリュックを買うと言い出したので『クミちゃんは肩掛けバッグ一択でしょ!』と主張すると、「コータくん、パイスラ狙いだよね?」とチョコちゃんに冷静にチクられた。


 チョコちゃん、パイスラ知ってたか・・・オタク侮りがたし。





 買い物は、駅前のロータリーで待ち合わせて、そこからバスに乗って市内にある大型ショッピングセンターへ行くことになっていた。


 私服での集まりなので、オシャレなクミちゃんがぼっち軍団に混ざると、まるでオタサーのひめ状態になってしまうから、クミちゃんには『ソレが嫌なら大人しめの服にしてね』とお願いしておいた。


 そしたらクミちゃん、ジャージで来た。

 メイクはしてるけど髪型はテキトーだし、サイフとスマホはジャージ上のポケットに突っ込んでる状態。 下はハーフパンツタイプのジャージで、足元はクロックサンダル。

 腕にはシュシュ巻いてて、別の意味で目立ってた。


 まぁ、ぼっち先輩たちは誰もオシャレに興味ないので、クミちゃんのジャージ姿見ても普通に受け入れていたけどね。

 なんか、田舎のヤンキー感が半端無かった。でもクミちゃん曰く「部屋着だよ」とのこと。


 因みに、僕が知ってるクミちゃんの私服って、もっとゆるふわ系お姉さんっぽいイメージだったんだけどな。

 少なくとも、学校でのクミちゃんは周りから「おしゃれ」と認識されている。

 逆に、ここに居る僕たちには気を遣わずにリラックスしていると言えるのかもしれない。 いや、リラックスしすぎだろ! 部屋着って自分んちかよ!





 バスではクミちゃんと僕が一緒の座席に座った。

 徐々に打ち解けているとはいえ、トップ陽キャとのマンツーマンは、ぼっち先輩たちにはまだまだ荷が重いそうだ。


 クミちゃんとのお喋りの話題は、ヒナタさんと別れる以前と同じに戻っていた。

 友達のこと、昨日見たテレビ番組のこと、今日のお昼は何食べたいとか。

 ヒナタさんの話は、全然出なかった。


 クミちゃんは、バスが目的地に着く直前に腕に巻いていたシュシュでサイドテールの髪型にし、益々田舎ヤンキーっぽくなっていた。


 ショッピングセンターに着くと、僕とクミちゃん以外は初めて来たということで、まず案内板の所へ行って、行きたいお店の目ぼしを付けてから移動した。移動では、特にチョコちゃんと鈴木さんが不安そうに人ごみにビビっていたのが判ったので、鈴木さんにはクミちゃん、チョコちゃんには僕が横に並んで移動した。



 お店では、みんな拘りがあるのかそれぞれ分かれて1時間以上かけて選んでいた。


 僕のは、クミちゃんとチョコちゃんが一緒に選んでくれた。

 そしたら、クミちゃんも同じリュックに決めた。

 更にチョコちゃんも同じリュックで色違いのに決めた。


 念のため『クミちゃん、コレ男性向けっぽいけど大丈夫? それに僕と一緒だと誤解されるかもだよ?』と確認したけど「いーのいーの。私、もう気を遣わないことにしたから」とのこと。

 イマイチ不安が残るけど、本人がそう言うのなら、ということで3人とも会計を済ませた。


 佐田くんと近藤くんも会計を済ませて、僕たちに合流した。

 あとは鈴木さんだけだ、と様子を見に行くと候補を2つまでに絞ったところで悩んでいたので、テキトーに『こっちが格好いいよ』と薦めると「じゃぁコッチにする」と僕が薦めたのと違う方を選んだ。


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