#14 童貞の性(さが)


 クミちゃんがウチに来た次の日、朝からずっとクミちゃんのおっぱいが気になって仕方ない。


 僕はいつからこんなに助平になってしまったんだろうか。


 所詮、童貞。

 昨日は癒し系美少女と二人きり。

 抱き着かれたり耳元で甘い言葉をささやかれたり膝枕をねだられたりすれば、勘違いしそうになるし、欲情してしまうのは仕方がない、と言い訳させてもらおう。

 何度も抱き合い、おっぱいをグイグイ押し付けられてしまえば、それはもう鮮烈な記憶かんしょくを童貞の脳みそに刻み付けた。



 で、クミちゃんおっぱいに話を戻す。


 制服の上からでもよく分かる豊満なバスト。

 以前聞いた話では、サイズはFカップだとか。

 今まで気にしていなかったが、イスから立ち上がったり、振りむいたりする度にぶよんぶよんと弾むおっぱい。

 もうクミちゃんがおっぱいにしか見えない。

 クミちゃんの本体がおっぱいなのだと脳が認識してしまってる。

 顔もお尻もおっぱいのだ。


 今朝だって「おはよう」の挨拶するとき、おっぱいに向かって挨拶したくらいだ。



 で、まぁ、童貞がこんな態度取ってれば、人の視線に慣れている陽キャのクミちゃんもすぐ気が付く訳で、休憩時間に教室から連れ出されて「コータくん、私のおっぱい見すぎ!」と叱られてしまった。


『ご、ごめんよ・・・童貞には昨日のクミちゃんおっぱいは刺激が強すぎて・・・』と謝ると


「もう!仕方ないなぁ」と言って、僕の右手を取って、自分のおっぱいに押し付けた。


「昨日のお礼だからね! コレでもうおっぱい見るの禁止!」


 あぁ、感動だ・・・

 やっぱりクミちゃんのおっぱいは素晴らしい。


『無理です!どうしても見ちゃいます!』と右手をモミモミしながら答えると


「揉むな!ばか!」とやっぱり怒って、一人でさっさと教室に戻ってしまった。



 うん、クミちゃん元気になって良かった良かった。







 その日の放課後、いつもの様に空き教室にぼっち軍団で集まって修学旅行に持っていく物を相談していると、クミちゃんが僕らの前に現れた。


『クミちゃん、こんな所にどうしたの?』とおっぱいに聞くと


「コータくんの話聞いて、私もみんなとお喋りしてみたくなったから来ちゃった」と。


 それならば、と僕が『同じクラスのクミちゃん。すっごく良い子だよ。みんなと仲良くしたいんだって。今日は一緒でも良い?』とぼっち先輩たちに聞くと、鈴木さん以外の3人は無言でウンウン頷いてくれた。

 鈴木さんは目をキョロキョロしながらブツブツ言ってたけど、情緒不安定なのはいつものことなので放置した。


 みんなの了解も得られたので、みんな同じクラスだけど改めて一人づつ紹介した。


『この黒縁メガネの方が佐田くん。ゲーム大好きでFPSメインのプレーヤーなんだって』

『こっちのフレーム無いメガネの方が近藤くん。アニメ大好きでアニメの話題振ると人が変わるから注意してね』

『で、霧島さんは判るよね。ラノベ大好きっ子で、兄×妹シュチの性癖の持ち主ね。僕はチョコちゃんって呼んでる』

『それで最後が鈴木さん。自称BLの伝道者。知らない女子相手だと威嚇いかくしようとするからね。ほっとけば鈴木さんの方から近寄ってくるから、それまでほっておくといいよ』


 最後に『この癒し系巨乳美少女はクミちゃんね。おっぱいばかり見てると怒るからほどほどにね』と紹介すると「コータくん、まだそれ続けるつもりかな?」と目が笑ってない笑顔でお説教された。


 その間ぼっち先輩たち4人は、学年トップクラスの陽キャの怒りに緊張しているのか、黙って僕がお説教されるのをただ見ていた。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る