#10 聞き出した真相



 ※サキ視点




 ヒナタと決別した夜、クミから連絡があった。


「サキちゃんが帰ったあと、ヒナタちゃんから色々聞き出した。その事で相談したいんだけど、電話してもいい?」


「うん、解った」


 そう返信して、こちらからクミに電話をかけた。


「で、どうだったの?」


「うん、やっぱり他の男に目移りしちゃった感じ」


「はぁ、なにやってるのよヒナタは。 それで、今は後悔してヨリ戻したいとか言ってるんじゃないの?」


「うん、そうみたい。でもよく解ったね」


「だって、他の男と上手くいってたら、あんなにビクビクしてないでしょ。 もっと堂々と幸せそうにしてるんじゃないの?」


「そうだね。 ていうか、そこまで解っててあんな突き放し方したの?」


「そうだよ。 だってホントにムカついてたんだもん。 コータのこと何だと思ってるの!って」


「まぁ、コータくん、めちゃくちゃヒナタちゃんには甘かったから、ヒナタちゃんもそれが当たり前になっちゃってて、今ヨリ戻したいって思ってるのも含めて、まだ現実見えてない感じかなぁ」


「んー、ヒナタは当分はコータには近寄らない方がいいよ。 多分、今のコータは、ヒナタのこと必死に距離置こうとしてるだろうから、ヒナタにとってもキツイ結果になると思う」


「そっかぁ、やっぱりコータくんでも依怙地いこじになったりするんだね」


「当たり前じゃない。 コータは他人には凄く優しいけど、自分のことになると厳しいよ。 この間の試験で1位とったのだって、今思えば、フラれたことで自分のこと追い込んで必死に勉強したからだと思う」


「でも、どうしたらいいんだろ。 ヒナタちゃんとしては、多分仲直りしたいんだろうけど、コータくんの気持ち考えると・・・厳しいよね・・・コータくん・・・」


「そこはもう本人たち次第じゃない? いくらヒナタが反省して謝っても、それを許すも許さないもコータ次第だし」

「ところでさ、ヒナタが好きになったっていう男って、誰だか聞けた?」


「あぁ、うん、聞いた。正直言って、聞くんじゃなかったって思ったけど」


「え?なになに? そんなにヤバイ男なの?」


「えーっと、ケンくん達に言わないで欲しいんだけど、3年の杉山」


「はぁぁ!? それマジなの!?」


 この3年の杉山という男は、顔が良いのをいいことに、ヤリ目的でそこらじゅうの女子を引っかけてはヤリ捨てて、それを武勇伝として周りに自慢しているようなクズで、私もクミも声をかけられたことがある。

 当然、私たちはその話を知っていたから、完全無視で逃げていたけど、余りにもしつこくてコータ達に相談して、追い払ってもらった。 その時もコータは、文字通り体を張って私たちを守ってくれた。


「っていうかさ、それ体許しちゃってるってことじゃない?」


「うん。確認したら、そうだった。 で、既に捨てられたらしいよ」


「あー、無理だ。ヨリにもよって、杉山になびいてコータのこと捨てて、で自分が捨てられたら、コータとヨリ戻そうとか、一切同情出来ないわ、私は」

「そもそも、ヒナタって凄いガード固かったと思うんだけど、なんでそんなに尻軽になっちゃったの? その頃私たち一緒に居たはずなのに、全然気が付かなかったよ?」


「う~ん、その辺は私も気が付かなかったし、ヒナタちゃんがその頃何考えてたとか私にも判んないけど、やっぱり杉山はダメだよね」


「とりあえずさ、私たちがここで色々言っててもしょうがないし、杉山の件は、コータたちには内緒にして、ヒナタのことは悪いけどクミの方でフォローしてあげてよ」


「うん、解った。ヒナタちゃんのことは私の方で様子見るよ」


「ごめんね、クミ。 私、どうしても感情的になってヒナタのこと今以上に傷つけちゃいそうだから、私自身も頭冷やしたくてさ」


「うん、解ってるよ・・・大丈夫・・・」


「ありがとう、クミ。 また何かあったら教えて。 私に出来ることあれば何でもするから」



 そう言って、通話を終了した。


 ある程度は想像していた通りの話だったけど、まさか杉山の名前が出てくるとは思っていなかった。

 今、私はヒナタに対して、ただただ失望している。




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