#05 馴れ初め
失恋からひと月経った。
勉強を必死に頑張ったお陰か、定期試験で高校入学以来初めて学年1位を取った。
そして体重は4キロ減った。
でもなんも嬉しくないぞ?
今更だけど、勉強で1位よりも、僕を癒してくれる恋人のが良いに決まってる。
僕は、まだやっぱり失恋を引きずっていた。
元カノであるヒナタさんとは相変わらず目線を合わせないように徹底している。
また、勉強ばかりしていたせいか、ヒナタさんだけでなく、他のクラスメイト達とも距離が出来たように思う。
マサカズとケン以外の人とは、ほとんど会話しなくなった。
この二人だって、僕が必死に勉強している時は話しかけずにいてくれた。
ケンのカノジョであるサキちゃんとすら最近会話していない。
サキちゃんとは中学からの友達とはいえ、今はヒナタさんの友達でもあるし、会話すれば間違いなくヒナタさんの話題が出るだろう。 だからどうしてもサキちゃんや同じく仲が良かったクミちゃんとは話しをする気になれない。
クミちゃんとは、サキちゃんを通じて仲良くなった。
マサカズ、ケン、サキちゃん、クミちゃん、そして僕の5人でよく昼ごはんを一緒に食べたり、放課後遊びに行ったりしていた。
そんなある日、偶然、水木ヒナタさんが他の女子達に囲まれて色々言われている場面に遭遇した。
何かトラブルか?と気になったので、目立たない位置で会話に耳を傾けると、どうやらヒナタさんが告白されて、振った相手のことを好きだった女子が、グループ引き連れてヒナタさんをイビっていて、大人しいヒナタさんは何も言い返せない様だった。
この場で出て行って止めることを考えたけど、男関係で揉めてるのに男の僕が口出したら余計に揉めるだろうと考えて、踏みとどまった。
代わりに、後でサキちゃんとクミちゃんに事情を説明して、ヒナタさんの
学年でも美少女で有名で人気者な二人の陽キャが守っていれば、流石に誰も手出し出来ないだろうと考えて、二人にお願いした。
結果としては、この作戦が上手くいき、ヒナタさんへの女子からの攻撃は治まり、そしてサキちゃんとクミちゃんはヒナタさんとそのまま友達になった。
更に、二人から僕のことを聞いたヒナタさんが、僕に対して好意を持ってくれて、そして付き合うことになった。
ヒナタさんを助けたのは、決して下心があった訳じゃないし、まさかサキちゃん達が僕からのお願いでヒナタさんと仲良くなったことを話すとは思ってもいなかった。
そんな経緯があるからこそ、フラれた今、サキちゃんにもクミちゃんにもそのことを話せず、そして距離を置く結果になってしまっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます