桜花さん

あれから3日後、閉店間際の花屋に来た。まだ明かりはあるけれど、人の気配はない。

ドアを開けた。

片付けをしている桜花さんと目が合う。真っ赤になって俯いてしまった。

僕は真っ直ぐ桜花さんの元に向かう。


「僕は……あなたの恋人になれますか?」


桜花さんはその真っ赤な顔を上げた。上目遣いだ、かわいい。


「その、ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いします」


ぺこりと頭を下げた。


「……いいんですか?!」


「は、はい。あ、でも」


今なら桜花さんのお願いには何でも答えてしまう。


「なんでしょうか」


「私、お付き合いをしたことが無いので、その、変なところがあったら言ってください」


「桜花さんも、僕に嫌なところがあったら言ってください」


「はい、約束ですよ」


そう言って桜花さんは花のように笑った。

その後、他愛もない話をしながら閉店のお手伝いをした。

やっぱり仕事をしている桜花さんはかわいい。

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