友人として

今日は用も無いのに来てしまった。もういっそ、桜花さんと話すためだけに行こうかな。

あ、そういえば母の日近いな。カーネーション買おうか。よし、それにしよう。

カランコロンとドアを開ける。


「いらっしゃいませー」


今日はちらほら人がいる。

桜花さんと目が合ったが、そらされた。

なんか……無理そうだな。お友達作戦は失敗かもしれない。

カーネーションを買おうと思ったけど、母の日には少し早いのでやめておいた。どうせなら母の日当日に来たい。

適当に園芸の雑誌を手にとってレジに向かう。

桜花さんと向かい合う。だけど目は合わない。

無言のまま会計を済ませ、雑誌を受け取る。


「僕はあなたの友人になれそうですか?」


桜花さんは俯いたまましばらく固まっていた。そして、ゆっくりと顔を上げた。

桜花さんは何か、決意を固めたような顔をしていた。


「今度、友人として、食事に行きましょう」


「いいんですか?!」


「はい」


やったー!ああ、ダメだ頬が緩んでしまう!

しかし、なぜ急に了解してくれたのだろうか。


「じゃあ連絡先をください」


「rainのIDでいいですか?」


「はい」


桜花さんはすぐにメモ帳を取り出して、IDが書かれた一枚を渡された。


「ここに連絡ください」


「はい。食事行きましょう、ランチでもディナーでも。絶対連絡します」


「はい」


桜花さんは少し照れたように笑った。

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