みぃーつけた
空は高く澄んでいる。わたしが光を宿したのは六日前で、それから毎日、朝のお祈りが終わると白く継ぎ目のない建物から逃れて、草はらに横たわっていた。体内がじんわりと熱を持っている。懐かしい感覚。これからのことを思うと怖い。
「みぃーつけた」
空から波打つ髪がはらはらと流れ落ちる。三十七番がわたしの顔を覗き込み笑った。
「今日くらいみんなと過ごそうよ」
「どうせ忘れるのに?」
ここはうんざりするほど美しい。空はいつでも晴れているし風は心地よく肌を撫ぜる。太陽と月は一秒も狂うことなく朝と夜を連れてきて、わたし達は少しずつ成長する。地上で生きていた時よりもはるかに緩いスピードで。
「次は私かも」
わたしより二十も遅くやってきたくせに、三十七番はそんなことを言う。生まれた先で会えたら良いのにねと、笑った口元の八重歯を明日、わたしはきっと思い出せない。
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