第57話 クラス分け
あまり2年生になったという感覚がない。しかし今日から先輩と言われる存在になるのかと思うと、少しは成長した。というよりも歳をとったの方が正しい言い方なのだのうか。
「蓮くんっ緊張しますっ」
「なにがだ?」
「えっ!それはもう・・・・・・く、クラス分けですよ」
「クラス分けあるの?」
「言ってたじゃないですかっ、先生が学年が上がるにつれてクラス分けは毎回あるって」
そんなこと言ってたんだ先生・・・・・・多分蓮はその時、気持ちよく睡眠をしていたのだと思う。
本当にその話をされた記憶がない。
「もうっ、これじゃ私だけが気にしてるみたいで恥ずかしいですっ」
「まぁ、もし違うクラスでも休み時間とか会えるだろ」
「私は同じクラスがいいんですっ!」
楓は「行きますよ!」と頬を膨らませながら大股で歩いていく。
蓮もどっちかといったら一緒のクラスの方が絶対良い。
でも、素直に言うのは少し恥ずかしいし、絶対同じクラスになれるよとフラグを建てるのも嫌なのであんな返答になってしまった。
あの返答はダメだと蓮は反省した。
蓮たちが学校に着くと、やはりまだジロジロみてくる奴らがいる。
しかし、前とは違うことが一つ。楓が前より遠慮してないし、俺ももう彼氏という自覚があるからかは分からないが、楓を見て泣き崩れる奴が、チラホラ2、3人見える。
なんか、ごめんなさいと俺は手を合わせて目をつぶった。
「ふふっ、素直に一緒のクラスになりたいって言ってくれればいいのにっ」
「えっ?あ、あ」
男達に向けた慈悲のお祈りだったのだが、結果的に楓の機嫌が治ってくれた。
なんか気持ちは複雑だった。
「ふっ、ふっ、ふっ」
楓がぴょんぴょんとブロンドの髪の毛を揺らしながら、奥にあるクラス分けの紙を頑張って見ようとしている。
蓮はジャンプしなくても見えるので、もう自分と楓が一緒のクラスになっていることは分かっていた。
心の中で俺はガッツポーズをした。
「れ、蓮くんっ。み、見えますかっ」
「あぁ、見えたぞ」
「ど、どうでしたかっ?」
「んー、今年も迷惑かけることになるかな?」
遠回しに、同じクラスと言ったつもりだった。楓の反応がない。わかりづらかっただろうか。
「よ、よかったぁ〜」
そう言って、俺に向かって気が抜けたように微笑む。
「千夏とかも同じクラスだった」
「早く会いたいですっ」
「まぁ、アイツは遅刻ギリギリだから」
まったく、アイツはと言うと、楓がジトーッと見つめてくる。
「前まで遅刻ギリギリだった人は言えませんよっ?そんなこと」
「ぐっ・・・・・・す、すみません」
「じゃあ教室いきましょうかっ」
楓に腕を掴まれて、教室に向かう。今からの学校が本当に、本当に少しだけ楽しみになった。
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