第53話 クッキー作り
「うーん、こんなこと言っちゃアレだけど、あんまり美味しくないね・・・・・・」
千夏に作り方を教えてもらいながらやってみたが美味しくできなかった。
「大丈夫!!練習すれば美味しくなる!」
「ありがとう・・・・・・」
「じゃあ拓人これ食べていいよっ!」
「また俺かよ・・・・・・」
拓人も、そんなこと言いながら嫌々だが、食べてくれている。
食べれない程ではないのだが、クッキーとしてはサクサクッとした食感を期待していたのだが、なぜか、ネチョネチョしてしまった。
「拓人悪いな」
「まぁ、味は良いしな」
「そっか・・・・・・よかった」
味は良いと褒められ、少しだけホッとした。これで味も悪かったら美味しいクッキーなどほど遠い。
「じゃあ、もう一回頑張ろうっー!」
「お願いします先生!」
「はっはっはっ〜、くるしゅうない」
次のクッキー作りに取り掛かる。今度はネチョネチョしないように気をつけながら、進めていく。
数時間寝かした後、オーブンに入れもう一度焼く多分、時間的にこれが最後だろう。
「頑張るねぇ〜」
「どうせだったら美味しい物を食べてもらいたいからな」
「大好きだねぇ、かえちゃんのこと」
「あぁ、好きだよ」
ニヤニヤしていたが、素直でよろしいと、背中を千夏に叩かれる。拓人は、イチャイチャするなと、視線を向けてくる。
「こ、今度はどうだ・・・・・・?」
「こっ・・・・・これは!」
「やっぱりまだ美味しくないか?」
「いや、めちゃくちゃ美味い」
それを聞いて、とてもホッとした。自分も味見してみる。
食感はサクサクで味はバターとチョコ両方のクッキーとも美味しくできた。
「うん!合格っ!!」
「ありがとうな千夏、拓人」
「ううん、大丈夫!だけど報酬の駅前クレープ忘れないでよね」
「わかってるよ」
「ついでに俺も」
「わかったわかった」
あははっ、と笑いながら、拓人の分まで了承する。なんだかんだ、拓人にも世話になったからだ。
千夏からレシピをもらって、千夏の家を出た。2回で美味しくできたのは、千夏の教え方が上手だったからだろう。
それに、たまにだが楓の料理を手伝っているし、そばで見ているからか、簡単な作業ならできるようになってきた。
そのおかげもあるかもしれない。
後はホワイトデーが来るのを待つだけだな・・・・・・そう考えたら、少しだけ緊張するな・・・・・・
外はだいぶ寒いので、早く帰りたい、暖かい部屋と好きな人と美味しい料理が待っている自分の家に
そう思うと、歩くスピードがどんどん速くなっていった。
(それに、俺もそろそろ覚悟を決めないとな・・・・・・いつまで経っても仮じゃいけないよな)
そう思うと、ギュと寒い中ポケットに突っ込んでいた手を外に出しグーを作った。
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