第47話 教室

「おいおい、お前ら注目の的だぞ」


 そう言って、机で腕を枕にして顔を隠している蓮に対して、ニヤついた笑顔を隠さずに蓮を弄ってくる。


「うるさいな・・・・・・わかってるよ」

「とうとう、俺たちバカップルの名をぐものが現れたか・・・・・・」

「お前らみたく、人前でイチャついたり惚気のろけたりしないから」


 それはどうかな、と言いながらまだニヤついた表情をやめないので、流石に少し腹が立ち、コツンとひじで拓人の脇腹わきばらを突く。


 楓の方を見ると、やはりいろんな人に囲まれている。そのおかげで、今は蓮の方には拓人を含めた数名が関係について聞いてくるくらいだ。


 その数人を相手するだけで疲れているのに、楓は凄いなと尊敬する。

 嫌な態度一つ見せず、みんなに丁寧ていねいにそれに楽しそうに喋っている。


(これが天使と言われる理由か・・・・・・)


 改めて楓の人気の凄さを実感していると、こちらの目線に気づいたのか、さっきまでニコニコしながら、喋っていたのに恥ずかしそうに顔を隠してしまった。


 当然みんなの目線は俺に向く。


「まぁ、大変だな人気者の彼氏も」

「まだ仮だけどな・・・・・・」

「あっちから告白されてんだから仮とかないだろ」

「・・・・・・うるせ」


 「素直じゃないなぁ」と拓人は蓮の頭をポンッと叩きながら自分の席に戻っていった。


(わかってはいても、結構ストレス溜まるなこれ)


 はぁっ〜っと今日一のため息を吐くと、シュンとした表情の楓が隣に立っていた。


「ど、どうしたんだっ!?」

「いえっ、その、ごめんなさいっ私が一緒に登校したいなんて言ったせいで」

「いや、いいよ。俺も行きたかったし」


 それを聞くと楓は少しだけムッとしていた。


「私の方が行きたかったです」

「いや、俺の方が行きたかった」

「先に言ったのは私ですっ」

「俺の方が先に一緒に行きたいって思ってた」

「そんなの、私だって・・・・・・」

『二人とも!!』


 近くで大きな声を出されて、流石に驚いた。先生がこちらを見ながら、呆れた表情をしていた。

 頭に手をつけながらはぁっと先生はため息をついていた。


「ここは学校で、家ではありません、いちゃつく場所でもありませんっ!」

「す、すみません」


 二人で謝るが、恥ずかしさで死にそうになっていた。


 そのあと、先生はホームルームを始めますと言っていつも通り、教卓の前に立ち、連絡することを伝えているが、なにも耳に入ってこなかった。


 千夏と拓人がホームルームが終わった直後、俺の方に寄ってくる。


「だから言ったろ、バカップル二代目」

「誰が二代目だ」

「さすがにさっきのは私たちでもしないよねー」


 千夏にそう言われて、流石にさっきのは反省しなければいけないと蓮は思っていた。


 楓も先程よりは落ち着いているし、大丈夫だろう。


「まぁ、いろいろあると思うけど、さっさとお前告白して、仮のお付き合いじゃなくて正式にしろよな」

「・・・・・・あぁ、まずは身だしなみからかな」


 そんなことを話していると、一時間目の開始のチャイムが鳴ってしまった。

 慌てて千夏と拓人は席に戻った。







あとがき

すみませんっ!せっかく付き合ったのですが、仮のお付き合いということで変更させていただきますっ

本当に申し訳ありませんっm(__)m

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