第48話 お弁当

 キーンコーンカーンコーン4校時目の終わりを知らせるチャイムが教室中に響き渡る。

 4校時目はお腹の音と勝負していたので、あまり授業をきけていなかった。


 周りには集中できてなかったことがお見通しだったらしく、千夏はクスクスッとずっと隣で笑っていた。


 そんな話を授業終わりにしていると、楓が私も入りたいと言いたげな表情で蓮の方を見ていた。


「どうしたんだ?楓」

「私も話に混ざりたいですっ・・・・・・」

「いや、でも・・・・・・」

「かえちゃんは、席が一番離れてるから、無理だろうねー、ぷぷぷっ」

「千夏・・・・・・お前なぁ」


 ずっと思い出して笑っている千夏に流石に呆れた様子を見せると、さらに楓がションボリしている。


「わ、話題を変えないかっ?!」

「話題を変えるのはいいけど、飯食おうぜ、もう腹が減りすぎて死ぬ」


 拓人がお腹をさすりながらグーって音を鳴らしている。


「たしかに・・・・・・お腹すいたな」


 近くにあった四つの机をくっつけて、みんな弁当を置いた。


「じゃあ、いただきまぁーす」


 そう言って、拓人が勢いよく割り箸を割って、弁当の中身を食べている。


「じゃあ俺ら・・・・・・も」


 弁当箱の蓋を開けたとき、ご飯にピンク色のふりかけのようなもので、ハートの形が書いてあった気がしたので、すぐに蓋を閉めた。


(いや・・・・・・気のせいだよな?)


 もういちど、蓋を開けると、気のせいではなかった。ちゃんとご飯の上にはピンク色の大きなハートがあった。


「あっーー!!ハートあるー!」


 お熱いねー、と言って千夏がいじってくる。拓人は弁当に夢中だ。他のクラスのやつも殺意を込めて俺の方を見てくる。


「あー!かえちゃんも同じだー!」


 楓を見ると、顔を真っ赤にしていた。流石に蓮も恥ずかしかったのか、耳まで赤くなってると、楓に指摘された。


「へへっ、お揃いバレちゃいましたね」


 恥ずかしそうに舌を出していたが、なんとも計画通りという感じが、計算高い猫のような感じだった。


 しかし、全く悪い気はしないなと思いながら、弁当のおかずを口に運んだ。

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