第41話 帰り道
友梨奈が帰ったあと、蓮と楓はベンチで休んでいたのだが、流石の冬の寒さに耐えられなくなり、2人で帰ることにした。
しかし、蓮の顔はずっと赤く、心臓もバクバクと鳴っている。
楓を見ると、寒さで赤くなっているのか、耳まで真っ赤だった。
「あのさ・・・・・・さっき言ってたことなんだけどさ」
「・・・・・・さっき言ってたこと?」
蓮が話しかけると、楓は肩をビクッとさせていた。楓が、首を傾げながらそう聞いてくるが、本人はもう気づいているのか、明らかに動揺していた。
「あの・・・・・・楓の好きな人が俺ってこと」
「そ、、それはっ!勢いだったというか!なんというか!あの、忘れてください。恥ずかしさで死んでしまいます・・・・・・」
恥ずかしさで死んでしまうのは大変だと思いながらも、否定はしないでくれたのが、なによりも嬉しい。
しかし、蓮がニヤけているのを見た楓は、蓮の方を目を細めて見ていた。
「・・・・・・な、なんだ?」
「別に?ただ、あれを聞いてなんて思ったのかなぁって思いまして」
「俺も好きだよ、女性をこんなに好きになったのは初めてだよ」
「はぁ、そうですよね・・・・・・やっぱり気持ち悪かったですよね・・・・・・って、えっ?!今な、なんて?」
俺は恥ずかしさのあまり、楓の柔らかいほっぺを摘んで、むにむにと触ったあと、横に伸ばす。
楓は嫌がる様子はなかったが、なにをされているのか分からないという感じだった。
俺は楓のほっぺを堪能したあと深呼吸をして、もう一度あの言葉を言う。
「俺も楓が好きだ」
「え、、、っと、ありがとうございますっ?って、なんて言えばいいんでしょう・・・・・・」
楓はいろんな男から告白されているという噂をよく耳にするので、こういうものには、慣れている方だと思っていたのだが、どうやら違うようだ。
「意外だな、楓くらいの人気があるとこういうのは大抵慣れているものだと思っていたんだが・・・」
「な、慣れませんよ!す、好きな人から直接好きと言われたのは初めてですから・・・・・・」
それを聞いて、俺は顔を赤くする。その言葉を言った楓も顔を赤くしている。
「でも、まだ俺は楓と付き合えない」
「えっ、それはどういう」
「俺はまだ楓に見合う男じゃないから、もし、もし見合う男になったと俺が感じたら、その時は俺から告白するから、待っててくれるか?」
楓はそれを聞いて、安心したのか、ふっと息を吐いていた。
そのあと、俺より、一歩前に出てクルッとこちらを振り返る。
満面の笑みを俺に見せてくる。しかし、頬はほんのり赤いままだった。
「仕方ないですなぁ、待っててあげますよ?でも、もし他の女の子のこと好きになっちゃったら、どうなるか分かりませんからねっ?」
舌を少し出して、楓(小悪魔)が出ていた。
「どうなるんだ?」
「んー、人生を終わらせちゃうかも??」
「おいおい、冗談だろ?」
「冗談ですよっ?」
ふふっ、と笑っている楓をみて、やはり小悪魔だ。と思った。
しかし、そんな様子も可愛いと思ってしまうから、恋とは難しい。
「安心しろ、そうならないように、努力する。というか、そうなる可能性はあるわけないだろ?」
「ふふっ、楽しみです。どんな風に告白されるのか」
「あんましハードル上げないでくれ」
そう言って、2人で家から来た道を戻る。
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