第30話 友達への相談

「はぁあ?!一緒に実家に行くことになっただと?」


 と言って、すごく驚いた表情をしている拓人をみて驚くのも無理はないと蓮は苦笑いしていた。


「あぁ、なにかと心配で・・・・・・」


 それを聞いて拓人はジトッーとしながら蓮をみる。そして、隣にいる千夏と顔を合わせて


「それで付き合ってないんだろっ?」

「あぁ、そんなんではない」

「お前ら変だぞ?」

「うるせ」


 と拓人の肩をコツンと叩く。


「お前は好きなんだよな??」

「あぁ、好きだと思う」

「それじゃあ告白しろよっ」

「告白しろー!」

「これは、俺の片想いだから、今告白してもフラれるだけだし、楓も告白されても迷惑だろ」


 「今はこの関係が一番いいんだよ」と一言だけ、追加して拓人と千夏を見る。

 すると二人とも、はぁーっと大きなため息を吐いていた。


「なんだよ」

「なんかさー、焦ったいね〜かえちゃんが可哀想」

「かえちゃん??」


 千夏が楓の事をあだ名で呼んでいた。いつの間にそんなに仲良くなったんだ・・・・・・?と不思議に思っていると、千夏がこっちを向いてニヤーッと笑っていた。



「教えてほしいっ??なんで急にあだ名で呼ぶようになったか」

「い、いや別に・・・・・・」

「ふーん、いいんだ〜」

「・・・・・・・・・教えてくださいっ」


 よかろうと言いながら、俺に楽しそうに千夏が話してくる。


「お泊まりする記念に、二人ともあだ名で呼ぶことになったのだ〜!」

「それだけ・・・・・・?」

「それだけってなんだ!ちゃんとした理由があるだろう!」

「だからあだ名で呼ぶようになったと・・・・・」


 お泊まり会か・・・・・・その日は夕飯どうしようなんて考えていた。しかし、千夏と楓が仲良くしてくれるのはありがたい。


 楓は前にあまり仲の良い友達はいないと言っていたので、本当に仲良くなったんだなぁと思った。

 蓮は自分以外にも気を許せる友達を楓は作った方が良いと思っていたのだ。


「ありがとうな千夏、楓と仲良くしてくれて」

「うえっ?!なになに?急に・・・・・・そりゃあ私も、かえちゃんと一緒にいると楽しいし、お礼を言われることじゃないよ!」


 と、にんまりとした可愛らしい笑顔を見せてきた。やはり無邪気むじゃきな女の子だ。


 そんな事を思っていると、隣からさっきから殺気を感じていた。


 拓人が殺気さっきを発しながらこちらをみていた。


「な、なんだよ」

「イチャイチャするなっ俺の彼女だぞ」

「別にイチャイチャしてねーよ」

「そうだよ拓人だいじょーぶ!拓人が一番好きだから!!・・・・・・ね?」


 と言いながら、拓人の表情を窺っている。すると拓人はニヤーッとニヤけている。


 前まではいつもこれを見ると正直気持ち悪いと思ってしまっていたが、今は自分もこんな表情になっているんだろうなぁと思っていた。


「俺は千夏じゃなくて楓の事が好きだから」

「なんか・・・・・・私今フラれた?ムカつくんですけどぉ〜〜!」

「あっ、悪い」

「謝んないでよっ!」


 千夏がそう言うと、拓人は千夏のことを慰め、蓮は自分の発言に少し反省していた。


 この二人と喋っていると、不安がなくなってしまう。友達だからってのもあるだろうが、もう一つは俺と楓が同居している事を知っている唯一のクラスメイトだからだ。


「ありがとう、また相談させてほしい」

「まぁ、恋の相談だったら乗るぞー?」

「私もー!」


 と言ってくる。

 やはり高校生は恋バナが好きらしい。

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