第21話 初制服、初仕事
「お待たせしましたっ」
そう言って女子更衣室から制服に着替えて出てくる楓、髪を
「どうでしょうか?」
「あぁ、似合ってる」
「そうですかっ!やったっ・・・・」
と言って、嬉しそうにニコニコしている楓を見て、やはり可愛いと思ってしまう。
しかし、ここはバイト先で蓮の家ではないので、気を引き締めた。
そして、まずは
と言いたいところだが、言葉遣いに関しては蓮よりも楓の方が
あとは声をもう少し張った方がいいということ以外は、ほとんど完璧だった。
「じゃあ、空いた席の掃除をしてきて」
「わかりましたっ!」
楓は元気に返事をし、空いている席のテーブルをせっせと布で拭いている。
自分も
昼時に近づいてきて、だんだんと、客がさっきよりも増えてくる。
「蓮ちゃん楓ちゃん注文お願い!」
「はいっ、分かりました」
「はいっ・・・・・・」
「楓、いきなり本番だけどいけるか?」
「だ、大丈夫ですよっ!」
口ではそう言っているが、楓の
やっぱり、天使様も人間だな、と少し安心する。何もかも完璧な人間なんていない。
「もし、トラブルとかあったら俺がいくから、楓はさっき俺が教えたことをすればなんとかなるから」
「は、はい・・・・・・」
「あと、お前は笑顔の方が、可愛いぞ」
「・・・・・・えっ?今なんて・・・・・・?」
「えっ?笑顔の方が・・・・・」
「蓮ちゃん!!」
店長からのヘルプの声に、すぐに
「そういうのを恥ずかしがらずに言えるところ、ずるいですっ・・・・・・もうっ」
◇ ◇ ◇
だんだんとラッシュを乗り切り、あと少しで、帰れる時間帯になった。
「蓮くーん!注文お願いー!」
と大きな声で俺を呼びながら手を振っているのは、大学生くらいの女性の
なぜか、俺は気に入られてしまっている。
「この子ね、このお店初めてなんだけど、なにかオススメとかある?」
「えっと・・・・・・甘いのはお好きですか?」
初めて来たという事は、まずは相手の好みを知ることが第一だ、そして苦手な物を出さないようにする。
「えっと・・・・・・甘いのは少し苦手で」
「では、こちらのブレンドコーヒーはいかがでしょうか、当店のパンケーキは甘いですが、ブレンドコーヒーは少し苦いので、とても丁度良いくらいの甘さになると思いますよ」
「じゃあ、それで・・・・・・」
かしこまりましたと言い、店長に伝えにいく。店長の隣には楓がいた。
店長と、なにやら話しているようだ。
「蓮ちゃんってモテるのよ?特に年上のお姉さんから、よくお話してるのよねー」
「そ、そうなんですか・・・・・・」
「もうっ!ちょっと
「嫉妬なんてしてないですよっ!」
「楓ちゃんは蓮ちゃんのこと好きなのね」
「ひぇっ!しょ、しょんなこと・・・・・・」
「ウフフ、あるのね」
店長がいきなり「いいわね!青春!」と言いながら、コーヒーを淹れている。
楓は俺を見ると、顔を赤くして、奥の方に走っていった。
俺は当然困惑した。店長はうるさいし、楓には逃げられるし・・・・・・なんなんだ?今日は一体・・・
店長に注文を言うと、店長は分かったと言って、俺の方をニヤニヤと見てくる。
「なんですか」
「いやぁ、大切にしてあげなね?楓ちゃん、あんなに可愛くていい子居ないわよ?」
「いきなりなんですか・・・・・・」
そして、大きな声で「ワタシ楓ちゃんの味方!」と言って、またまたコーヒーを淹れている。
仕事も終わり、楓と帰ろうと、休憩室に行くも居なかった。
まだ、更衣室で着替えているのだろうと思い蓮も急いで更衣室に入り、着替える。
着替えて更衣室から出ると、私服の楓に戻っていた。何故か少し残念というか、もう少し制服姿を、堪能したかった蓮だった。
「さっきは逃げてしまいすみませんっ」
「いや、別に気にしてないけど」
「そうですか・・・・・・なら良いんですけど」
「じゃあ帰るかー」
そう言うと、頬はほんのり赤く染まっていたが、「はいっ」と言ってニコッと
一つわかるのは、どこにいても、天使様の笑顔は周りの人を
天使様が、笑うだけで、店の周りの人が注目するのが分かる。
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