第3話 天使様とショッピング
二人で近くのショッピングモールに来た。大きさはそこそこ広くて、もうすぐハロウィンということで、入り口の近くにはお化けの看板や、ハロウィンコラボ!なんて書かれてる商品もある。
「見てくださいっ!きらきらしてますよっ!」
「ショッピングモール来たことないのか?」
「はい、必要最低限の物を買うのは父でしたので」
「なるほど」
そう言って、レディースの服をむぅーと悩みながら選んでいる天使様の隣で、盛大にあくびをする。
「なぁ、俺外で待ってていいか?」
「ダメですよっ、ちゃんと試着して似合ってるか、感想言ってくれないと」
「店員さんでいいだろ」
「早坂君の意見を聞きたいんです」
すると、4、5着ほど、気に入ったのがあったのか自分の腕で抱えながら試着室に入って行く。
その時に「覗いちゃダメですからねっ!」とか言ってたが、覗くわけがない。
今でも、女性の裸を見ると、元カノの事を思い出して、吐き気を
「どうでしょう・・・・・・」
「似合ってるぞ?」
「もうっ、ちゃんと思ってますか?さっきからずっと一緒の感想ですよ?」
「仕方ないだろ、よく分かんねぇんだから」
じゃあこれを買いますと言って持ったのは上下セット3着だけだった。
「いいのか?これで他にも、もっと・・・・・・」
「いいんですっ!着回しできますし、それにすごく可愛くて気に入りました」
ニコッと笑う天使様を見て、学校の笑顔より全然いい笑顔だなと思いながら、会計を済ます。
「あと、必要なものあるか?」
「えっと、その、下着とか・・・・・・」
「下着?」
「はいっ、そのブラジャーとか・・・・・」
「そっか、じゃあお金渡すから買ってきて、どのくらいあれば足りる?」
と聞くと、なぜかジーッとこちらを見てくる。何か気に
「なんだ」
「本当に興味がないんですね、他の男子はなんか色んなこと話してるのに」
「色んなこととは」
「その、えっ、えっちな事とか」
「興味ない」
興味ないと言ったが、正確には興味がなくなったの方が正しい。
「じゃあ、行ってきます」
「おう」
お金を渡して、数十分待つ、女性との買い物は長い事は分かっていたから、イラつきはしないが腹は減る。
すると丁度良いタイミングでワタワタしながら袋を抱えて戻ってくる。
「お待たせしてすみません」
「いいよ、別に」
「あとは・・・・・その前にご飯食べない?」
そう言ってファストフード店に入った。
「ここは・・・・・」
「ファストフード店、どれも美味いからどれ頼んでも後悔しないよ」
「じゃあ、このチーズバーガーで」
「俺はこの、バーベキュービーフベーコンで」
店員さんが、微笑ましい笑顔を見せてくる。
(スマイルは頼んでないぞ・・・・・・)
「こちら4番でお待ちのお客様〜」
と言われて、取りに行く。
「こちらは彼女さんの分です」
と言われて、トレイを渡される。彼女じゃないんだが、と否定したかったが、いつの間にか周りの人の視線が俺の隣の天使様に集まっている。
(すげーな天使)
と思う半面、見られるのに疲れるというのはある。これを学校でもやられてるのか、俺だったら3日で学校に来なくなると思いながらも、ハンバーガーを口いっぱいに頬張る。
「ごめんなさいっ、私のせいで迷惑かけてしまい」
「別に気にしてない」
「なら良いですけど・・・・・・」
「俺が決めた事だから、お前も気にすんな」
まだ、眉を下げて申し訳なさそうにしてる、天使様を見ながらハンバーガーをまた一口食べる。
お腹も膨れて、もうすっかり17時になりそうな時間帯だった。
「そろそろ帰るか・・・・・・」
そう言ったのだが、天使様は、ぬいぐるみを見ている。
欲しいのかと思い、見たのだがおっさんのぬいぐるみだった。
「・・・・・・欲しいのか?」
「いえっ!可愛いなって思って」
「これが?」
「あーっ!今馬鹿にしました?可愛いじゃないですか、この髭とか、ツルツルの頭とか」
「まぁ、よく分からないが」
「買うか?」
そう聞くと、そこまでしなくても大丈夫ですよと言ってきたが、この際だ家事を頼むのだから、何かプレゼントでもしようと思った。
(あーあ、なんでこんな事しちゃうのかなぁ)
そう言って、さっきのおっさんのぬいぐるみを買った時に店員に言われたのが
「可愛い彼女の頼み断れませんよね」
何故そこまで、カップルに見えるのだろうか、天使様が可愛いのはわかる。
ただ、俺とカップル同士とは思わないだろうと考えていた。
「おいっ、これ」
「えっ!?これって・・・・・・さっきのおじじ・・・・・・・でもなんで・・・」
「俺の部屋、あんまり家具とかないから、それ置こうかなって思っただけ」
別に他意はないといった表情をすると、天使様はそのぬいぐるみをぎゅーっと抱きしめて
「ふふっ、嬉しいっ!」
天使様はおっさんの顔が歪むほど強く抱きしめていた。
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