番外  affection(*きつめな性描写アリ、苦手な方は注意)


「………ン……ッ……ンぷぁ…………」


レイラの唇は柔らかい弾力を返しては吸いつき、猶も媚びるようにして離さなかった。蕩心に沈むかの如く、底のない渇望を引き起こしては貪る。

薄く目を閉じて、二人だけの体温を感じていた。


はだけた服を脱がせて、片手で彼女の乳房をそっと撫でてみる。

大きな穹窿を描いた胸が、快感に揺れてビクリと乳房を震わせた。

硬く突起した部分を探り当てると、甘い吐息を漏らして全身で微弱な抵抗をみせるレイラ。だが、そのいじらしい反応はレオの嗜虐心を燃え上がらせるだけである。

彼女の両手を壁に押し付け、身動きを封じてその甘美な唇を凌辱した。


「ッ……!?んん………ふぁ……ちゅぱ……………ンんン!!!」


息継ぎをレオの唇に妨害され、苦しく喘いだ。

逃すまい、と舌を入れてレイラの舌を絡めとる。

互いの唾液を交換して、再び唇を離した時には糸のような橋が彼此を繋いだ。

頬を紅潮させ、肩で大きく息をするレイラ。

お互いが淫蕩の熱に浮かれ、欲望の燈火をくゆらせていた。


「レイラさん………入れるよ………?」

「うん………来て、レオ君……」


位置を定めて、腰をあてがいゆっくりと挿入していく。

濡れそぼった洞穴は齟齬無く受け入れ、蜜にるように奥へ滑り込む。

脳天を貫くような快楽に、レオは思わず苦悶の声を漏らした。

まだ未熟な官能が、轟々と渦巻く快感に飲み込まれていく。


少年の悶える様相を見て、レイラは優しい微笑みを浮かべた。


「レオ君………動いていいのよ……?」

「…………………………っ――!」


動けば竿ごと持っていかれそうな挿入感だ。

場の勢いと熱に呑まれたとはいえ、彼は性徴を終えたばかりの少年である。

動くたびに喘ぎ声が漏れ、それを恥じては口元を隠す。

先程とは打って変わって、今度はレイラの嗜虐心が沸々と首をもたげて始めていた。


レオの腰に両足を絡みつける。

首筋に手を回して抱擁するようにレオを拘束した。

引き寄せられた少年の耳元をくすぐるようにしては囁く。


「ね………頑張って……レオ君…?」


苦悶に濡れた少年の口が、熱を吐いた。

娼婦に取り憑かれた動物のような相貌で、レオは腰を打ち付ける。

白磁のように透き通る彼女の胸が、波を作って揺れ動いた。

体を突くたびに漏れる嬌声が地下室の中に響きわたる。

二人の体温が、この部屋を、この世界を覆い尽くしていた。


不意にレイラが口に噛みつき、子供のようにじゃれてはついばんだ。

仕返しとばかりに下唇を嚙み返してやる。

そのまま舌を絡め合わせ、艶めかしく唾液を注いでやる。

伝え零した雫が一滴、錦糸の如く胸に落ちた。


お互いが絶頂の時を悟り始める。

次第にストロークは激しさを増し、張り詰めた射精感がレオの頭を痺れさせた。


「レイラさん………俺、…もう……!」

「はあぁ……うん……ッ……いいよ…ッ…レオ君……!!」


瞬間、目の前を白い稲妻が奔ったかのような感覚を覚える。

たまらずレオは彼女の中で果てていた。

裏筋が頸動の如く痙攣し、つかの間の至上感に満たされる。

息も絶え絶えに切らし、肌を伝って落ちた汗が床を濡らしている。

暫くの間動けず、仰向きに天井を見上げていた。

レイラも熱に倒れたように、ぐったりと横たわっている。

次第に理性を取り戻し始めた二人は、お互いを気遣う様子で背中を重ねた。



「俺は……、レイラさん、俺はこんなつもりじゃなかったんです……」

「ううん……わかってる。巻き込んじゃって、ごめんね。悪いのは、全部私だから…」

「そんな……襲ったのは僕ですし、それに……」


そう言ってレオは部屋を見渡す。

十年間知らなかった、地下室の存在。異様な蔵書の数々。

そして、レイラさんの狂奔。

引き出しにあった、謎の錠剤。


真相は霧の中に閉ざされたままだ。



「巻き込んじゃったのは本当に悪いと思ってる。けどね、レオ君。こうなってしまった以上、貴方も知る必要があるわ。ううん、知ってほしいの。」





そうしてレイラさんはポツリポツリと話し始めた。

俺の知らなかった、いや、知ることの出来なかった世界について。

後戻りはもうできなかった。

あの少年の胸を焦がした淡い初恋は、もう幼さと共に捨ててしまったのだから。

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