第三話

「行かせてもらいます」


 昇はそう言って、拳を握りしめて玉城へと突っ込む。


「く……くそっ……図に乗るなぁっ!」


 驚愕のあまりに玉城は腰が引けながらも、すかさず防御の体制に入る。その早さはさすが二年生といったところか。しかし、それでも昇の動きの方が早かった。

 彼の拳が玉城の顔を掠める。


「なにっ」


 玉城の素早い防御。しかし直ぐに次の拳が襲ってくる。それを防ごうとするとまた次の攻撃が、それをなんとか必死の思いで防ぎきっても今度は別の個所から攻撃が……と、弾幕の如き拳、脚が彼を襲う。


(これぞ親父から受け継ぎし技……『怒髪衝天撃バチギレ・ラッシュ』!)


 猛攻を避ける玉城。その最中、彼はあることに気づいた。


(もしかしてこの技……ラッシュだけがメインではないのか!?)


 そう、この怒髪衝天撃、実は風圧によって発生する刃で攻撃を食らわせることもできるのだ。その刃によって、玉城の戦闘服は切り刻まれていた。


(まずい……このままでは……)


 玉城は焦っていた。彼は女子たちから絶大な人気を寄せられている。その上、今日はイチゴ柄のパンツを履いている。つまり今彼が服をひん剥かれたが最後、全校生徒の笑い者になってしまう。

 

(こうなったら仕方がない……降参するか……)


 しかし現実は非情であった。彼が降参しようとした瞬間、昇が放った一撃がきっかけとなって服が弾けとんだ。

 結果。玉城の可愛らしいイチゴパンツが日の下にさらされのだ。


「やべ……やりすぎちゃった……」


 一応、昇はそのつもりなどさらさらなかった。ただ少し本気になりすぎただけだった。彼は「少し力加減をしないとな」と反省した。


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 その後何分かの審議の後、判決が下った。


「結果発表ォォォォォ!!!審議の結果、勝者ァ!万行昇に決定ェ!皆さん、彼に盛大な拍手を!!」


 その言葉を受け、スタジアムにまばらながらも拍手の音が鳴った。


 こうして昇の「手合わせ」は判定勝ちという、なんとも微妙な感じに終わった。


 


 



 




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