ep.16「いいじゃん、俺に会いに来て」

二人で夏祭りに行ってからというものの、

私の彼に対する感情に、自分自身が追い付いていなかった。


私にとって彼は、お友達?





あの日からは毎日、他愛もないメッセージのやり取りをしていた。



「夏休みって曜日感覚狂うよね」


「小学生の一行日記の宿題はそんな怠惰な大人になるな、というメッセージだったのかもしれませんね」


「あれは、実際最終日にまとめて書くやつじゃん」


「怠惰な子どもだったんですね」


「それが夏休みの宿題の醍醐味じゃん」


「悪いことだというの無視した行為を、たまに「これは青春だ」とかいう人いますよね」


「先輩は?宿題終わった?」


「終わりました。夏休み始まって1週間ほどで」


「やばすぎ・・」









「はるとが左利きって知ってた?」


「はい、板書するときに」


「あいつよく、左利きあるある話すんだけどさ、その中に駅の改札、ICカード左手でやりづらいってやつあるじゃん?」


「はい、よく聞きますね」


「俺右利きだけど、左手で、ピッてやるんだよ」


「何の話ですか?」


「人間って同じタイプの人同士のコミュニティ意識強いよね」


「ほかのコミュニティにマウントとるということですか?」


「右利きの人にはわからないでしょ?マウントな」


「花粉症コミュニティなんかもそうですね」


「あいつらはやばい」









「先輩は人にイライラすることあるの?」


「あまりありませんね・・」


「本当に怒ったら怖いタイプだなそれ」


「いえ、全く、傘を横に持って歩く人には、「足の小指をぶつけてしまえ」くらいしか思いません・・」


「ねちっこいタイプ・・」


「歩きスマホをしている人を見ても、「トイレでちょうどトイレットペーパーなくなれ」としか思いません」


「え・・・」


「レジで店員さんに向かってお金を投げて渡す人は、「白シャツ着てるときに限ってお醤油こぼしてしまえ」くらいしか思いませんもん」


「やばい怖いタイプってことは分かったよ・・」





彼と話すのは、楽しいな、と。



「先輩、明日、暇?」


「要件を言わずに予定を聞かれるのは苦手です。そちらの提案によってこちらは暇かどうか決まるのに・・・」


「明日はると学校来る日でさ、いつもの4人で宿題片付け会やらない?」


「宿題終わってますが・・」


「いいじゃん、俺に会いに来て、13時ね」


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