ep.9「笑った顔も可愛いよね」

今日から1学期期末テスト期間。

テストが終われば夏休み。


「あずちん・・だめだ・・数学、このままだと赤点かも・・」


「みかちゃん・・またですか?一緒に勉強しましょう」


「ううう、神様・・・」










「で、なんでここで数学の勉強すんの?物理やれよ」


「図書室いっぱいだったんです、失礼します。」


「先生物理ってことは、数学もできるでしょ?ついでに教えてくださいよ!」


「灰原、逆に物理の勉強はしてるんだろうな?」


「し、してるもん!です!」


今日もこの二人は尊く感じます。


「数学ならそこの学級委員に聞いた方が身に着くんじゃない?」


「いえ、私は」


なんだこの先生、空気読んでください。

嬉しいくせに。




そういえば、今日は夏見くんいない。



「遥ならもうすぐくるよ」


まだ私なにも言ってない・・


「え、気にしてたでしょ?」


「してません」


「まあ宮地もここで勉強しとけ」


今日も会うのか、日常化してしまっている。


みかさんと先生のためとはいえ、ここにくるのは控えた方が身のためだな。


「失礼しまーす、宮地先輩お疲れ様~、あ、灰原先輩も」


「えー今私のこと見えてなかったでしょ~生意気な後輩め~

あずちんに近付くのはいいけど、泣かせたら怒るよ~」


「はは、そりゃ怖いっすね、気を付けますっ」


みかさんと夏見くんが笑い合ってる。



「みかちゃん、近付かれるのも困っています」


「あれ?ふたりもういい感じだと思ってたけど違うの?」


「ち、ちがいますよ!」

「お前ら~勉強すんぞ~生徒の色恋とか興味ないからな先生」


「え、先生は、あの、彼女とかいるんですか?」


「うるせえ灰原、いたら先生は今頃、帰宅を急ぐために自分の仕事をしてるぞ?」


「そうですよね~だと思いました!」


みかさんとの時間のが大事だろうに。合法的を守るために私と夏見くんがいるようなもんだ。



「先輩って頭いいの?学級委員だし」


「学級委員が頭いいなんて、誰が決めたんです?」


「教えてよ、勉強」


「夏見くんは頭悪いんですか?」


「それ、勉強とか関係なく聞いてない?馬鹿にしてる?」


「ふふ、そんな風に聞こえましたか、すみません」





「先輩は笑った顔も可愛いよね」


笑う?

危ない笑ってしまっていた。

両手を頬にたたきつけて、正気に戻す。



「あ、もどった」


「す、少しだけなら、教えます」


「やったね」




それから2時間ほど、4人での学習会をしていた。


夏見くんは、やればできるタイプだった。


少し教えれば、すぐに自力で問題を解いていた。


勉強を教えてっていうのは、やっぱり口実なのかと悟った。




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