番外編1「あんま余裕こいてると落ちるよ?」

「童貞に、女を落とす技術があるんですか?」


「すっごい煽るじゃん。実は毒舌だよね、宮地先輩」


「本心を口にしました」


「そう言ってられるのも今のうちじゃない?あんま余裕こいてると落ちるよ?」






夏見遥と宮地あずさが出会う前の話―


物理準備室


「はるとー、あ、ふじみやせんせー、失礼しまーす」


「遥に先生って言われるの慣れないわ、てか馬鹿にしてんだろ」


「してませーん」


「今日も屋上行くのかー?最近は鬱期が長いな」


「これでもましになった方だぜ、躁期はもっと逆にひどい」


「たしかにな~」


「そういえばはるとってさ、2年で副担だっけ?」


「そうだよ」


「みやじって生徒わかる?」


「あー・・・みやじあずさ、か?俺のクラスだよ」


「あずささん、か」


「なんで?恋でもした?」


「いや、まあ綺麗な人だなとは思ったけど・・」


「思ったのかよ」


「じゃなくてさ、俺が通ってるメンクリで見たんだよね、学校かどっかで見たことあってさ、みやじって呼ばれてて、あまりにも綺麗な人だったから覚えてた。あんなに容姿整ってても悩むことあるんだなって」


「遥が女の話なんて珍しいな。

あんなに女が寄ってくるくせに、未だに童貞で理想高いやつめ、適当に捨てない純情ボーイが」


「おいちくるぞ、藤宮先生は生徒に手を出すクズですって」


「事実無根」


「でっちあげ」


「生意気な高校生だな」


「灰原さんだっけか?下の名前なんだっけ」


「美香」


「のろけんじゃねーよ」


「遥が聞いてきたんだろ」



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