ep.6「ちゃんと俺のこと好きにさせてあげるよ」

「先輩今日も来てくれたの」


「昨日の、よくわからない発言が気になりすぎて、もう頭の中ぐるぐるで、困ってしまっているんです・・」


正直に、こぼした。


「ああ、そんなにか。結構簡単なこと言ったと思うんだけど、先輩が好き」


いつものように生意気で無邪気な笑顔を見せられて、

私は、イラついていたのだろうか。


「意味わからないんです。この前会ったばかりなのに、急に童貞捨てたいとかどんな陰キャラだよとか思っていたら、急にタメ口で強引で生意気だし。死にたいとか言って心配してたのに、ひとめぼれしたとか言って!もうやめてください!」


早口で述べたそれは、素直な気持ちだった。


「あ」


しまった。正直に話しすぎた。私の方こそキャラが定まらない。


「ふふっ」


そう笑うと夏目遥は、私に一歩一歩近付き、


その手で私の頭を撫でた。


「へ?」


「そんなに俺のこと考えてくれてたの?先輩かわいい」


私が言ったこと、この人は聞いていたのだろうか


振り回されてるのは分かってるのにかわいいと言われたことに、ドキドキしていたのは間違いなかった。


「か、からかわないでください」


手をどける。


「ごめんごめん、でも俺本気だからさ、ちゃんと俺のこと好きにさせてあげるよ」


いつからだ。いつから夏見遥は私のことを?


本当に本気なのか?


冷静になれ、いつもの宮地あずさに。


「しません」


「ん?」


「私、恋はしません。なので、好きになりません。夏見くんのこと」


「ふーん、上等じゃん」



そこからだ。


私たちの戦いがはじまったのは。



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