ep.5「教師のくせに、クラス内の生徒に恋してるとかじゃん?」

「いとこって結構仲いいものなのでしょうか?」


「うーん、小さい頃から面倒みてやってる感じ、仲いいといえばいいな。」


「屋上の鍵を貸してあげちゃうくらいですか?」


「え、」


「屋上で出会いました。で、出会ったそうです。」


「もういいって宮地の話だろ?」


「いくら仲良くても、教師としてのリスク背負って、あんなガキに協力するなんておかしいです。弱みでも握られてるんですか?」


「悪口だぞそれ、でもまあ、半分正解。弱みなのかわかんないけどさ」


「なんですか?」


「直球ど真ん中め」


「教師としての生命途絶えてもいいんですか?」


(夏見君に鍵を渡していることを密告するぞ)


「はは。さあね~、教師のくせに、クラス内の生徒に恋してるとかじゃん?」


なるほど。


既に両想いだったということですね。みかさん。


「先生が教師として、男として、しっかりとした人で、安心しました。」


「よかったわ」


両想いでも手を出さないのは、教師、大人としてのけじめか。


「屋上のあいつと話して、どうだった?」


「彼はめちゃくちゃです。脈絡もない会話しかしません。」


「ん~そういうとこあるなあいつ」


「あと」


「病んでた?」


え?


「あいつ、深く鬱になるときに鍵借りに来るんだよ。いつか死ぬんじゃないか心配になるわ。まあでも、恋してるならしばらくは死なないかな」


「えっと」


私はなにを言おうとしている?聞こうとしている?


「今日も借りてったよ、遥」


それを聞いて、また、勝手に体が屋上に向かっていた。



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