第14話 あれもしかして……
「今なんて?」
「だからあんたならいいって言ったの」
急展開過ぎて状況がつかめてないんだが。
これはマジなのか。
そう言うってことはもうクリアってこと?
こんな簡単に終わっていいのものなのか。だが据え膳食わぬは男の恥という言葉もあるしここは素直に乗らせてもらおうじゃないか。
少し息を荒くした俺が河合さんへと距離を詰めると。
「って冗談だよ?何……マジだと思ったのウケるんだけど」
でしょうね。わ、分かってましたとも。
……クソッ、揶揄いやがったなこの野郎。このことは絶対に忘れない。
「薄々気づいてたけど敢えて乗ってあげただけだから」
「ふ~ん、言われた時はまんざらでもない顔してたくせに」
どんどん河合さんのペースに巻き込まれてく。
でもまぁ悪い気はしない。無視されるよりかは全然こちらの方がいい。
「ご想像にお任せします。というか聞いてもいいかな?」
「何?」
「何でここで一人暮らししてるの?一人暮らしするにしても河合さんならもっといいとこに住めるよね」
河合さんのような人がこんなところに住んでいると知ったらよからぬことを考える輩も少なからず出てくる。敢えてそのリスクを冒すのはあまりいいとは言えないからだ。
「ただ親が嫌いなの、常に仕事仕事で私に話すのは誰々が挨拶に来るからお前も準備しとけとかそういうことだけ。そんなの家にいたくなくなるでしょ?ここに住んでるのは自分でお金を払える範囲だったからよ」
話してくれるとは思わなかったので少し驚いたが金持ち故の悩みという感じだろうか?河合さんの親は確か大手車メーカーの現社長だった気がする。忙しいのも無理はない。
「お母さんも忙しいの?」
「父さんの秘書だから。二人とも私の家出にすら気づいてないと思うわ」
なるほど、だから二人とも忙しいという訳か。
それにしても自分の妻に秘書を任せるとはさすがの信頼関係というべきか。
「そんなことはないと思うけどね。というかここの家賃河合さんが払ってるって言わあなかった?」
「うん」
「どこからそんなお金を……」
「バイトに決まってんじゃん」
「バイト!?この高校じゃダメだったような」
「ばれなければ問題ないでしょ、バイト先も知り合いの店長さんで理解してくれてるし」
そういうことならまぁ。
てか待てよ。
「じゃあ学校にはそのことは言ってないよね?」
「当り前じゃん」
「この前授業いなかったのは?」
「突然ダウンしちゃった人がいて仕方なく交代したの、あの先生なら休んでも問題ないと思って」
今の話を聞いて思ったことはただ一つ。
………素行不良ってもしかして勘違いじゃね?
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