第13話 何故
「えっ!?ちょっと勝手に入んないでよ!」
「じゃあ連絡するか俺に看病されるか選んで、だれか来るなら俺もすぐ帰るから」
「どうしてそこまでするのよ……あんたには関係ないでしょ!?」
河合さんの表情は本当に意味が分からないといった様子だった。まだ友達でもないし俺がここまでするのは確かに以上かもしれない。
ここだ、ここで間違えてはいけない。
友達だなんて言っても無理がある。
ここでいうべきは俺の真剣さを河合さんにどう伝えるか。
ならば……
「関係なくはない、だってこれから関係を作るんだから。少なくても俺はそう思ってる」
「………」
中々に恥ずかしいのに黙られては余計恥ずかしい。
河合さんは先ほどから俯いて黙ったままだ。
「せめて何か言ってよ、俺も恥ずかしいんだけど」
もしかして怒ってるのだろうか。
「河合さん聞こえて……」
その瞬間河合さんが俺の方向に倒れた。すぐに気づいて体を支えたが河合さんは何も言わない。
「ちょ、河合さん!?」
顔を見るとものすごく赤い、額に手を当てるとかなりの高熱を出していることが分かった。意識も朦朧としているのか返事もない。
俺は大慌てで河合さんを抱き上げベットに寝かす。
救急車を呼ぼうとスマホを取り出した。
ちょうどその時。
「ん……あれ?」
河合さんの意識が戻ったようだ。
「大丈夫!?」
「ちょっと近い」
「あぁごめん、救急車呼ぶ?」
「いい」
言葉は短いが意識はしっかりしてるし救急車は大丈夫そうだ。
「取り敢えずこれ飲めるなら飲んだ方がいいよ」
俺はコンビニで買ってきたポカリスエットを手渡す。
「ありがと」
受け取ってくれないかと思ったが素直に受け取ってくれた。
河合さんはポカリを半分くらいまで飲んでいた。喉が渇いていたようだ。
「なにジロジロ見てるのよ」
「いやいつもこのくらい素直だと話しやすいのになと思ってさ」
「余計なお世話」
「そうですか……さっき倒れる前のことって何か覚えてる?」
結構勇気を出して恥ずかしいこと言ったが覚えているのだろうか。
「…何も」
「そっか」
一瞬間があったような気がしなくもないが覚えてないのか。仕方がないといえばそれまでだが少し悔しい。
いい線言ってたと思ったのに。
「なに私を襲おうとしたの?」
少し揶揄うような表情をした河合さん、その表情を俺は初めて見た。
ヤンキーが子猫を拾うような今までとのギャップに破壊力は凄まじかった。
「……そんなこと病人にしないよ」
「ちょっと間があったってことは考えてなかった訳じゃないんだ?」
「だから違うっ「あんたならいいけどね」」
「えっ?」
俺は間抜けな声を出してしまった。
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