第12話 実行

 放課後俺はある場所に向かっていた。

 雄二達との会話からある程度想像できるが河合さんの家だ。幸いにも校長が渡してくれた極秘情報に住所は載っていた。


 こんな形で使うことになるとは何が必要となるか分からないものだ。

 

 河合さんは親元を離れて一人暮らしなのも丁度いい。門前払いされたりしたら意味がないからな。問題は何処で住所を教えてもらったか聞かれた時だ。


 仲がいい人がいればその人に教えてもらったと言い訳が出来るんだが……河合さんに友達らしい人もいない。


 ……こうなれば校長先生から頼まれたとしておこう。あの人なら口裏合わせてくれそうだしな。

 一人暮らしとは言えど住んでいるのは高級マンションに違いない。受付から連絡が来たとき俺が来たとなれば拒否されるだろうが校長からの頼み出来たとなれば無視はできないはず。

 


 よし、そうしよう。


 風邪の可能性もあるのでコンビニで差し入れを買ってから俺は河合さんの元へ向かっていった。



「本当にここか……?」


 写真に載ってる住所と間違いない。因みにこの写真は一回家に帰って資料を撮影したものだ。


 目の前にあるのは高級マンション……ではなくいたって普通のアパートだった。大学生や新社会人が暮らすような何の変哲もないアパート。


 ここに河合さんがいるとは考えにくいが表札を見ると河合さんの名前があった。

 どうやら間違いではなくあっているらしい。


 予想外だ、何かここで暮らす理由があるのだろうか。

 取り敢えずここで待っていても何も始まらないので俺はインターホンを押す。



 鳴ってから数秒後。

「………何であんたがここにいんのよ?」

 

 インターホンに取り付けられたカメラできた人物の顔を見て気づいたのだろう。

 だが少し様子がおかしい。少し呼吸が荒い気がする。


「心配で見に来たんだよ、大丈夫?」


「大……ゴホッゴホッ、大丈夫だから帰って」


 それは大丈夫ではない気がするんだが。


「分かった、帰るから差し入れだけ取りに来て」


 しばらく無言になって後、ガチャっと開いた音がした。

 

「だるいから早く渡して」


 そういいながら出てきた河合さんだが顔色が尋常じゃないほど悪い。

 顔が真っ青で息も荒い。


「ちょっと待って、病院には行ったの?」

「寝てれば大丈夫よ」

「大丈夫じゃないでしょ、行った方がいい」

「……」


 病院には行きたくないのだろうか。


「病院が嫌なら親に連絡は?せめて誰かに来てもらった方がいい」

「それも無理、仕事で忙しいから」


「体調が悪いなら誰かに頼った方がいい、君の家に連絡すれば親じゃなくても誰かしら来てくれるだろ?」

「大丈夫って言ってるでしょ!私に構わないで」


「分かった、なら俺が看病するそれで問題ないね」

 強引に決めた俺はそのまま河合さんを押し込むように家の中に入っていった。 









 

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