第6話 恋愛ゲームの意味
「よく分かったわね」
「こんな条件でもないと大金を払う価値なんてないと思いましたから。それにしても破格の条件だなとは思いますけど」
「そうかしら?私はそうは思わないけど」
俺と東郷校長の考えは違うらしい。
「だってこの学校の問題児よ?金持ちの問題児ほど相手にしたくないものはないわね。それにこの恋愛ゲームの本当の意味は問題児達を更生させることよ」
確かに。
この学校には金持ちや政治家の子供が集まる場所。
言い換えれば敵に回せばある意味で厄介な人物ばかりということだ。
何かしでかせばその瞬間退学という可能性もある。
だがその後の意味がよく理解できない。
問題児達を更生?
恋に落として?
無理がある。
「恋に落ちた程度で解決しますかね?」
「分からないわ今回が初めてだもの。でも試す価値は大いにある」
「というと?」
「今までは教師の方が相手の親に遠慮して多少問題があっても見過ごすしかなかったのよ。この学校の面倒なところね、でも生徒同士なら問題ないでしょ?何か問題があっても当人同士の問題ということにすればね」
可愛らしく笑みを浮かべる東郷校長。
その笑顔が怖い。
さらっとこの社会の闇を聞いた気がするが気のせいということにしておこう。
「それなら他の方法でもいいんじゃないですか?同性の友達を作るとか、恋愛ゲームの必要性がないような気がするんですけど……」
「だってそっちの方が面白そうでしょ?どうせやるなら面白そうな方がいいじゃない」
「……なるほど」
――適当すぎないか!?
親父と仲がいい理由が少し分かったような気がする。
「それじゃあ引き受けてくれるのね?」
「受けますよ」
「それじゃあ早速最初の生徒を教えるわね、田中」
秘書の名前は田中というらしい。
田中さんが俺に資料を持ってくる。
秘密文書と表に書かれた封筒を開けると一人の女子高生の個人情報がずらりと書いてあった。
それに大きな文字で
問題点・素行不良
と書いてある。いわゆる不良ということだろう。
「これは……いいんですか?」
住所など細部まで個人情報が書かれている。
一生徒である俺に渡してよいはずがない。
「いいのよ、ばれたらあなたが盗んだことにするから。話を戻すわ、彼女は
さらっとやばいことが聞こえた気がするがもう慣れた。
封筒の中を見ると写真があった。
それを見た瞬間俺は悟った。
「俺と同じクラス……」
名前だけでは分からかったが写真を見て思い出した。
明らかにクラスから浮いていたから鮮明に覚えている。
金髪で制服も着崩し、ヤンキーだと一目で分かる見た目だった。
「最初は同じクラスの人の方がいいかと思って。取り合えず頑張って、効果があることを期待してるわ」
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