第4話 対面
次の日の放課後。
俺は校長室に向かっていた。
もちろん、担任を通して今日の放課後に伺ってよいという許可はもらったので問題はない。担任の名は佐々木と言って眼鏡をかけた優男という感じだ。
担任に説明するときに追及されるかとも思っていたが家庭の事情でと言ったら特に何も追及もなく了承してくれた。
やはりここに来る生徒が生徒なだけに家庭の事情などには追及はしないようにしているのだろうか。
俺には分からないが好都合だった。
それと今日は早速授業が開始した。まぁ勉強面では何一つ問題はない。
知り合いも多少できたしこの学校での生活は問題ないはずだ。
この後の条件次第ではの話だが。
昨日は何とかなりそうだなとか思っていたが当日になるとやはり気になってい仕方がない。
条件の内容を自分なりに想像しては見るがこれだというような考えが思いつかない。俺個人への条件ということは俺でなくてはいけない。
そこから何か見えてくるかとも思ったが……
「さっぱり分からん」
まぁ考えても意味がないことは分かっていても先に答えを知りたいと思ってしまうのだ。先にある程度予測できていれば昨日みたいに大きな声を上げることもないだろうし。
どんなに俺が驚愕するような条件を提示されても昨日みたく驚くわけにはいかない。なんたってこれから話をするのは校長だからだ。無礼なことでもいlって退学にでもされたらたまったものではない。
俺は失礼のないように一回深呼吸をして気を引き締めてから校長室の扉をノックした。
「どちら様ですか?」
中から声が聞こえる。
「本日お伺いしたいと連絡した渡会です。入ってもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
「失礼します」
広々とした校長室の中は整頓されており、二人の人物がいた。
一人はこの学校のトップの東郷千鶴。
歳は確か30過ぎだったはずだがその美貌から20代前半といっても分からないだろう。謎の美魔女としてテレビに出演していたこともあった。
もう一人は初老の男性だ。
職員紹介の時にはいなかったと思う。
「彼は私の秘書、気にしないで」
俺の空気を察したのか校長先生が説明してくれた。
歳は60過ぎあたりだろうか、微笑を浮かべ深々とお辞儀をしてくれた。
「それにしても写真で見たよりもイケメンね」
「そ、そうでしょうか。ありがとうございます」
入学式のイメージとは全然違いとてもフランクで驚いてしまったがなんとな取り繕えた。
「ねぇ慧君、年上のお姉さんって………どう?」
「え?」
「私慧君のこと結構好みなんだけど、私ってどうかな?」
そういいながらゆっくりと席を立ちこちらに向かってくる東郷校長。
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
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